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2014.8.8

笑顔と親切心のある人


東大寺別当、筒井寛昭氏の心に響く言葉より…

東北の大震災のあと、災害に直面した人々を助けようと、多くの人々の手が差し伸べられました。

その「絆」が縁となり、大きな人の輪ができました。

皆さんのなかには、その輪になんらかの形で加わった人も、いらっしゃるでしょう。

なかには手助けしたかったのは山々だけど、何もしてあげられなかったと悶々としている人もいらっしゃることと思います。

しかし、本当にそうでしょうか。

あなたが誰かにあげられるものは必ずあります。

例えば、どんな人にも笑顔があるはずです。

いつも優しくほほえんでいる人は周囲をなごませ、幸せにします。

『雑宝蔵経(ぞうほうぞうきょう)』には、『無財(むざい)の七施(しちせ)』と呼ばれるものが書かれています。

いくら貧しくても生活にゆとりがなくても毎日実践できることがある。

その中に笑顔があります。

忙しくて被災地に行けなくても、周囲にいる人に笑顔で接すればその人はきっと幸せな気分になり、その喜びは多くの人に伝わります。

笑顔だけでなく、他にもこんな行為が人のためになると書かれています。

「正しく丁寧な言葉を使うこと」

「いたわりの言葉をかけること」

「愛情のこもった温かい言葉で人に接すること」

「礼儀正しく人に接すること」。

どれも特別に時間をつくらなくとも、家庭や職場でできることばかり。

他の誰かが施す姿を見て、ともに喜ぶことも布施をするのと同じものとされます。

笑顔と親切心があれば、実はいつでも誰かのために何かできるのです。

『仏様からのアドバイス』ワニブックス


昨今は特に、何かボランティアをしなければいけない、と強迫観念のように思う人は多い。

もちろん時間と余裕のある人がボランティアをすることは崇高な行為だ。

しかし、逆に言うなら、いくらボランティアに行ったとしても、「丁寧な言葉を使わず乱暴な言葉で人に接する」「いたわりの言葉や優しい言葉など一切かけない」「冷たく人に接する」など、『無財の七施』と逆のことをしていたらいったいどうだろう。

どんな崇高な行為であろうと、一切が無になってしまう。

どんなことをするにも「なんのために」するのかという、よって立つところの「志(こころざし)」がそこになかったらやる意味はない。

「人の喜びをわがことのように喜び、笑顔と親切心のある人」

誰かに喜んでもらうため、まず身近な小さなことから実践したい。


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