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2014.7.25

低い声の効用


多湖輝氏の心に響く言葉より…

大声で泣きわめく子に、負けじとカン高い声で叱責の言葉を浴びせている母親の姿を見るたびに、私が思い出す一つの研究があります。

それは、アメリカのケニヨン大学の言語研究班とアメリカ海軍が共同で、聖書にある「穏やかな答えは怒りを払う」という言葉の真実性を心理学的に立証してみようとした研究です。

この研究のそもそもの目的は、指令を出すときにもっともふさわしい声の高さを調べようとしたもので、電話と船の中にある伝声管を使って、さまざまな声の高さで送り手が受け手に質問を発してみました。

すると、話し手が高い声で質問すれば高い声で、低い声で質問すれば低い声で答えがかえってくることが判明しました。

とくにしつけの問題として見た場合、じつに興味深い示唆を含んでいると思うのです。

つまり、大声で泣く子供に対して、母親がヒステリックに叱責の声を高めれば高めるほど、子どもの声は高くなりこそすれ、低くなることはありません。

子どもの声を高めてさせているのは、じつは母親のカン高い声であるとさえ言えるのです。

事実、この種の母と子の言い争いは、際限なく続き、どちらかが疲れ果てるまでエスカレートしていく傾向があることは、誰もが幾度となく目撃していることでしょう。

ここから導き出される結論は、叱責の言葉こそ、ふだんの会話より、もっと低い調子で語りかけるくらいのつもりになることが必要ということです。

低い声は、感情のエネルギーが噴出した高い声とは対照的に、「理性」を感じさせます。

逆に言えば、低い声を使うことによって、相手から自分が理性的に思われると同時に、事実、自分が理性的になれます。

また、低い声は、相手と二人だけの話、ほかの誰でもないあなたへの語りかけであるということが強調される点です。

演説の声のように、大きな声というのは“公の声”であるのに対して、小さな声は“私的な声”であり、いわゆる“差しで話す”という人間関係を作り出します。

そして、ふだんと違う口調という点で、話し手のいつにない重大な決意が感じ取れます。

心して聞かないと大変だという相手の注意を喚起できるのです。

低い声は、物理的に言っても、精神を集中し耳に全神経を集めないと聞き取れません。

最初は話される内容を聞き入れるつもりはなくても、聴覚をそこへ傾けさせることが、内容の受け入れにつながることが少なくないのです。

こうしたさまざまな点を総合してみると、低い声、穏やかな話し方というのは、相手の傾聴を誘うことがわかります。

少なくとも、声高の言い合いがエスカレートするのを防ぎ、子どもを自分の土俵に引き込むことができるのです。

『しつけの知恵』PHP文庫


大きな声はよくて、小さな声はダメだ、と一般には言われる。

もちろん、大きな声の方が、元気よくみえ、ポジティブに感じるのは確かだ。

しかし、時と場合によっては小さな声が必要なときもある。

相手が、突如ヒステリックに激昂したような時、相手が感情的になり大声になればなるほど、こちらは低い声で冷静に話した方が話はこじれない。

相手と同じように感情的になってしまっては、ただの子供同士のケンカになってしまう。

また、講演会の場で、聴衆がざわざわとざわついてしまったとき、講師はわざと小さな声で静かに話すと、聴衆は静かになるという。

「静かにしなさい」と怒鳴るよりも効果的だ。

アナウンサーやニュースキャスターの声も、昨今はどんどん低い声の人が多くなってきている。

知的で理性を感じさせ、説得力も増すからだ。

なんでもかんでも、大声で元気よく話せばいいわけではない。

ときに、低い声や小さな声で、静かに話してみることも必要だ。


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