2014.7.13 |
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「心」を持っているかどうか |
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富士フイルムホールディングスCEO、古森重隆氏の心に響く言葉より…
私はさまざまな企業の経営者にお会いすることが多いが、優れた経営者はちょっと話をすると、「この人は“心”を持っているな」とすぐに感じとることが出来るものだ。
「社会・社会の公器としての会社・組織に対する使命感・責任感と、国民や社員にたいする思いと、その両方を背負いながら仕事をしている」という匂いが、言葉や態度の端々から漂ってくるのだ。
しかし中には匂いがしない経営者もいる。
若い経営者の中には、社長の職に就いたときには匂いがしなくても、一年も経てば見違えるように変貌する人もいる。
だが残念ながらずっと変わらない人もいる。
そういう経営者はだいたい会社をダメにするし、短命に終わる。
上に立つ人間は、人間に対しての共感や責任感、広い意味での愛・思いやり、人を受け入れる力とかそういうものがないといけない。
経営者にとってなくてはならないものは、やはり心だ。
こういう力がない人は社長になってはいけない。
「心」を持っているかどうかは、リーダーとしての器を判断するときの絶対に欠かせない条件となる。
心というのは私の解釈で言えば、誠実に生きるということ。
それは社会や会社、社員に対する愛情や責任感、使命感といったものである。
そしてさらに、会社に対しても、社員に対してもフェアでなくてはならないのである。
心が欠けている人は絶対にリーダーになってはいけない。
また、正しいことを、フェアなことをやらなければいけない。
社会に対しても、あるいは競争相手に対してもフェアであることが大事だ。
しかも賢くやらないといけない。
そして、それを実行・完遂するには強さがいる。
また、それに加え、優しさがないといけない。
人に対する愛や会社に対する愛がないとダメだ。
人間に対しての優しさや思いやりを持つこと、こういうことが心であり、人の気持ちが理解出来るということだ。
心が欠けているリーダーは、「自分だけが利益を得られればいい。生き残ればいい」という身勝手な判断をしがちだ。
全体のことを考えている使命感のある人間というのは、それなりの風格があり、匂いがする。
「もっと社会の役に立ちたい」「もっと社員に幸せになってほしい」という心は、決して忘れてはいけないものだ。
私はこの使命感こそ、自分自身のモチベーションを高めるトリガー(引き金)だと思う。
『君は、どう生きるのか 心の持ち方で人生は変えられる』三笠書房
リーダーとしての生き方は、なにもリーダーだけが持たなければいけないものではなく、人として生きるのに誰もが必要な考え方だ。
このことは、会津藩の武士の子どもへの教え、「什(じゅう)の掟」に見ることができる。
それは…
「年長者にはお辞儀をしなければなりませぬ」
「虚を言ってはなりませぬ」
「卑怯な振る舞いをしてはなりませぬ」
「弱いものをいじめてはなりませぬ」
というようなものだが、最後に「ならぬものはならぬものです」と締めくくっている。
礼儀を正しくし、嘘をつかない、卑怯なことをせず、弱い者いじめはしない、というごくごく当たり前のことだ。
しかし、現代ではこのことが欠けている人が多い。
特に、リーダーにこの資質がなければ、その組織は早晩崩壊する。
「心」を持っているかどうかは、人として最も大切なこと。 |
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