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2014.6.9

ありがとう、と言える人


松岡修造氏の心に響く言葉より…

「ありがとう」は、ネガティブ思考を消す魔法の言葉です。

「お前の意見はいつも面白くないんだよ」と言われたら、「ありがとう。きみの指摘で気づかなかったことがわかったよ」。

「少しは仕事のしかたを変えたら?」と言われたら、「ありがとう。私が良くなるきっかけをくれて」…

辛辣(しんらつ)な意見を言われて自分を全否定されたように感じるときでも、「ありがとう」の気持ちで受け止めれば、何かしらプラスになるものを見つけられます。

落ち込まずに、前に進んで行けます。

「ありがとう」は、人間関係を豊かにし、人生を良い方向へと導いてくれる言葉だと思うので、僕は人から何か言われるたびに、「ありがとう、ありがとう」と心の中で言うようにしています。

雪の降る寒い時期に、「くいしん坊!万才」のロケで北陸地方のある町を訪ねたときのことです。

一人暮らしをしているおばあちゃんのお宅で、塩漬けにしたサバを使った料理を出してくれました。

雪が積もると買い物もままならないので、昔から、寒冷地の冬の食事は保存食を使ったものが多いのです。

「おばあちゃん、このサバはかなり塩がきいてますね」

「きっと体に必要なんだろうね。昔の人の知恵だと思うよ」

こういう話をしていると、日本という国がよくわかります。

しんしんと降り積もる雪の中で、春の訪れを心待ちにしながら仕事や家事に精を出し、日本を支えている人たちがいるのです。

そういう方々はとても温かくて、自分よりも人のことを思いやっています。

このおばあちゃんも、「もっと不便なところで暮らしている人もいるんだから、私なんか本当に恵まれてるんですよ」という話ばかりでした。

雪国の一人暮らしには不便なことも多いはずなのに、「ありがたい」「ありがとう」という言葉が常に出てくるのです。

もし自分が雪深い町に一人で暮らし、毎日のようにサバの塩漬けを食べていたら、まったく逆の捉え方をするだろう。

「ありがとう」なんて絶対に言えないだろう…。

僕は、自分の不遜さと弱さを改めて気付かされた思いでした。

「ありがとう」を伝えるのは、素晴らしいこと。

「ありがとう」を感じるのは、幸せなこと。

さまざまな人とコミュニケーションを広げることで、もっとたくさんの「ありがとう」を感じられる自分になりたいと、僕は思っています。

『伝わる!修造トーク』飛鳥新社


「上をみればキリがない」と言われるが、不幸は比較から生まれる。

他人と自分を比較して不幸だと思う人は、いつまでたっても幸せになることはできない。

「自分より恵まれていない人がいる」と思いやることができる人は、今与えられた幸せに感謝することができる。

普通に過ぎていく日常も、実は当たり前ではない、と分かったとき、そこに「ありがとう」と感謝が生まれる。

先の東北大震災を考えてみれば、それは身にしみてわかること。

幸せは感謝することから生まれる。

どんなことにも「ありがとう」と言える人でありたい。


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