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2014.6.23

いいことが起こる前兆


精神科医、齋藤茂太氏の心に響く言葉より…

何をやってもうまくいかないことがある。

たとえば仕事でミスをし、気分転換に酒を飲んだら悪酔いして電車を乗り過ごす。

やむなくタクシーで帰宅したら財布は空っぽ。

そこに家族の罵詈雑言が降り注ぐ…。

こんな、不幸の連鎖とでも呼びたくなる状況がたびたびあると、「ああ、自分の人生はツキから完全に見放されている」と嘆きたくもなる。

そして「これからも、いいことなんかないだろうな」と、ずるずる落ち込んでしまう。

そんな時、どうすれば気分をすばやく好転させられるのだろうか。

ここは逆発想が有効だ。

「こう悪いことばかり続くのは、何かとてつもなくいいことが起こる前兆に違いない」と考えるのだ。

そして、「そのとびきりのいいこととは?」と想像しよう。

人生はうまくしたもので、不幸一色に塗りつぶされる一生などというものはない。

底に沈めば、それだけ大きな浮力もつくものなのである。

うまくいかない今を「いいことのための準備期間」と思えれば、気分は上向くことを忘れないでほしい。

悲観的になった時は、先のことより目先の楽しみを思い浮かべるといい。

気持ちがめいっている時には、明るい未来など思い描けるわけがないのだから、それはあきらめてしまおう。

そして、日々のささいな楽しみに目を向けるのだ。

風呂あがりの一杯のビールのうまさ、女房殿との何気ない語らい、何度観ても飽きることがないお気に入りのビデオ…何でもいい。

それに没頭し、ささやかでも手応えのはっきりした幸福を味わうのだ。

ビールをあおったら、多少オーバーに「ああ、うっめぇ!」なんて言ってみるのもいいかもしれない。

それで苦しさが一瞬でも遠のけば、首尾は上々。

そんな小さなことの繰り返しが、悲観の迷路から抜ける道筋の発見につながるのである。

『心をリセットしたいときに読む本』ぶんか社文庫


「禍福(かふく)は糾(あざな)える縄(なわ)の如(ごと)し」

ということわざの通り、幸せと不幸は交互にやってくる。

苦しいことや辛いことがあると、それが永遠に続いてしまうかのように思ってしまうが、長い人生を振り返ってみたとき、それは一瞬のことだったと気づく。

大きな「幸」も「不幸」も一瞬のできごと。

だからこそ、日常の何気ない小さな幸せに気づくことが大事なのだ。

どんなことが起きても、それは「いいことが起こる前兆」と捉(とら)えたい。


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