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2014.5.28

何かひとつを手放したら


早川勝氏の心に響く言葉より…

私は20数年もの間、売れる営業マンと売れない営業マンをたくさん見てきた。

たとえば、あなたがお客様として何かものを購入する場合、いったいどんな営業マンから買いたいと思うだろうか。

親切な人、知識がある人、笑顔の人、説明の上手な人、それとも、値引きしてくれる人だろうか。

そもそも、営業マンが人から嫌われてしまうのは、「営業をする」からだ。

だから、人は「営業をしない」人から買いたいのだ。

たとえば、あなたがシャツを買いにデパートに行ったとしよう。

そこに現れた販売員は、あなたの興味を引こうと、みえみえのお世辞を連発し、営業スマイルで、わざとらしい積極さと、何でもいうことを聞きます的な従順な態度で接してくる。

「これなんか、お似合いですよ」

「じゃあ、これはどうですか?お客様は何を着てもお似合いになりますね」

「このシャツは超お買い得ですよ!」

「これは今、流行ってて、かなり売れてますよ」

あなただったらどうするだろうか?

たしかに、シャツがほしくてやってきた。

販売員がいうとおり似合っているような気がするし、値段も確かに安そうだ。

しかし、最後の決断がなかなかできない。

そして、迷ったあげくに「また来ます」とごまかして、二度と行くことはない。

そんな経験が一度や二度はあるだろう。

なぜ、最後の最後で購入に踏み切れなかったのか。

それは、その販売員を「信じきれなかった」からだ。

本当のことをいっているのか、嘘なのか、判断できなかったのだ。

もし、この販売員が、

「こちらのシャツは似合ってませんよ。こちらのシャツの方お似合いですよ」

「ああ、この手のシャツでしたら、隣の店にオススメのものがございますよ」

「来週からセールが始まりますので、今日は買わないで帰ったほうがいいですよ」

などといってくれたとしたら、その販売員から買いたいと思わないだろうか。

その理由は、この販売員が正直な人だと感じたから。

嘘をいわない人だと感じたからだ。

「あなたがいうなら間違いない」と信じられたとき、最後の決断ができるようになる。

「高くてもいいから、あなたから買いたい」と、営業担当者の付加価値を評価してもらえたら理想的だ。

すべての人間関係に、この法則が当てはまる。

好かれている人は、相手に受け入れてもらう努力はせず、あくまで自然体だ。

正直に思っていることを伝え、その結果、嫌われてもかまわない。

そんな態度で接している。

自然体で正直な人というのは、相手と親しくなるために、無意識に「操ろうとする習慣」から解放されている。

『「最高の結果」はすべてを「捨てた」後にやってくる』総合法令出版


「人生とは面白いものだ。

何かひとつを手放したら、

それよりずっといいものがやってくる」(サマセット・モーム)同書より

販売店などで、売ろう、売ろうとする人はそれを見すかされる。

現代社会においては、お客を操ろうする人は嫌われる。

売り込もうという意識を手放し、損得を考えずに、自然体の気持ちで接するなら、相手との信頼感は増すのに…

これは人間関係にも言えること。

好かれよう、好かれようとすればするほど、好かれない。

欲しい、欲しいと思えば思うほど、手に入らない。

ウケけよう、ウケようとすればするほど、ウケない。

人は敏感だ。

そこに作為的なものや損得を感じると、サーっと潮が引くように引いていく。

「何かひとつを手放したら、それよりずっといいものがやってくる」

いつも自然体の人は魅力的だ。


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