2014.5.16 |
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ゆっくり生きれば遠くまでいける |
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順天堂大学医学部教授、小林弘幸氏の心に響く言葉より…
もし誰かに「究極の健康法を教えてください」と言われたら、「ゆっくり生きること」と私は即座に答えます。
「ゆっくり生きる」という言葉には「健康のすべて」が集約されていると考えられるからです。
ところが、現代社会を生きる私たちはとにかく忙しい。
時間的、物理的に忙しいだけでなく、「あれが心配だ」「こんな悩みがある」「気がかりなことがなくならない」など、精神的にも落ち着くことがありません。
あなたの日常も同じではないでしょうか。
私たちの体の調子を支配しているのは自律神経。
心臓や胃腸を動かしたり、血液をつくり、血管の収縮を管理するなど「自分では意識して動かせない部分」のすべてを担っているのが自律神経です。
この自律神経が乱れると、体の調子が悪くなり、果ては病気になってしまう。
残念ながら、多くの人が送っている「忙しく、落ち着かない日常」は、自律神経がもっとも乱れやすいライフスタイル。
心臓や胃腸の働きが悪くなり、血液の質が下がり、血流も悪くなります。
その結果、心臓や脳の疾患、血管系の病気、胃腸のトラブルなどを起こしやすくなってしまうのです。
私の考える「本当の健康」とは、「良質な血液が細胞の一つひとつに十分に届いている状態」。
これに尽きます。
そもそもどんな病気も「血液の質と流れが悪くなる」という部分はすべて共通しています。
この「血流の悪さ」というのは、病気を引き起こすのみならず、日常的なさまざまなシーンでも悪影響を及ぼします。
たとえば、人間関係。
烈火のごとく怒る、猛烈に腹を立てるという状態。
怒っているとき、あなたの自律神経は大きく乱れています。
自律神経が乱れることで、血液はドロドロになり、血流も悪くなっています。
「怒る」という行為は、それだけで血液の質を落とし、血管が収縮し、血流も悪くなる。
いかに不健康な行為かわかるでしょう。
「怒り」に限らず、「不安」や「緊張」でも同じことが起こってきます。
「病は気から」というように、怒りや不安、緊張などメンタルに変化が起こると、その「動き」に体が敏感に反応し、本当に病気に近づいていってしまうのです。
一方で、人は安心しているとき、適度に血管が拡張し、スムーズに血液が流れる状態になっています。
まさに、ゆっくり生きれば、それだけ健康に近づくということです。
『ゆっくり生きれば遠くまでいける』大和書房
長生きは、「長息(ながいき)」だと言われる。
長く深く鼻から息を吸い、長く深く口から息を吐く。
ヨガや禅で行われる腹式呼吸の呼吸法だ。
呼吸が速くなれば、呼吸も浅くなる。
呼吸が浅くなれば、血流が悪くなる。
「われらは遠くから来た。そして遠くまで行くのだ」という言葉がある。
人類は、長い長い歴史を生きてきた。
あくせくせず、淡々と…
ゆっくり生きれば遠くまでいける。 |
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