2014.4.25 |
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お互い様の精神 |
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「読書のすすめ」店主、清水克衛氏の心に響く言葉より…
現代は「クレーム社会」といわれています。
私の知り合いに公共バスの運転手をしている方がいるのですが、その彼が「最近は本当に理不尽なクレームが増えた」と言っています。
こちらにまったく落ち度がなかったとしても、会社からは「とにかく謝りなさい」と言われているそうで、それがかなりのストレスになるそうです。
私も先日、こんな光景を目の当たりにしました。
出張で飛行機に乗ったときの、搭乗時の出来事です。
私の前に若い女性が座っていたのですが、50代くらいの男性がきて「そこは俺の席だ!」と言うのです。
搭乗員の方が駆けつけてその男性に、機体が急遽(きゅうきょ)、安全上の理由で変更された関係で、男性が予約した席が変わっていることを丁寧に告げました。
するとその男性は散々、乗務員に文句をいって、最後には「だからJALはつぶれるんだ!」と大声で“捨て台詞”を吐いて、自分の本来の席に行きました。
はたしてこの男性は、文句をいったことで何か得をしたのでしょうか?
逆に搭乗員の方はもちろん、その席にいた女性客や私も含めたまわりのお客さんはみな、楽しいはずの空の旅が一転し、イヤな気分にさせられました。
またコンビニなどでも、自分の息子や娘ぐらいの年の若い店員に「態度が悪い」とクレームをつけている大人をよく見かけます。
はたして、その大人たちは、それは自分の子どもだとしたら、同じような態度をとるでしょうか?
一体、いつから日本はこのような「クレーム社会」になってしまったのでしょうか。
少なくとも、江戸時代は違っていました。
江戸時代の商人たちは、決して他のお店に対してクレームをつけることはなかったそうです。
それは、もしその人がクレームをつけたりすると、その人自身の信用が落ちて、その人のお店にお客さんが来なくなるからです。
どのお店も一生懸命、商売をしています。
それでも人間ですから、ミスをしてしまうことはあるのです。
みんなそれをわかっているので、クレームをつけるようなことをしないのです。
「お互い様」の精神があるからこそ商売をさせていただいているんだということを、みんなが理解していたのです。
私は“ある種の人”を信用しないようにしています。
それは、人によって態度を変える人です。
「読書のすすめ」には本を書いている著者がたくさん来ます。
話を聞くと、とてもいいことをいうのです。
それで一緒に飲みに行くと、お店の店員さんに対して急に偉そうな態度をとったり、横柄な口のきき方をしたりする人がたまにいます。
このような人は、他助やお互い様の精神がない方なので、その後は一切お付き合いをしないようにしています。
一緒に飲んでもおいしくないですもんね。
それよりお店の人とも仲良くなって、一緒に楽しく過ごしたほうが絶対におもしろいんです。
そういうセンスは忘れたくないですね。
買う側も売る側も同じ立場なのです。
上も下もあるわけないのです。
『他助論』サンマーク出版
クレームをつけて、鬼のような顔をして怒鳴っている人がいるが、それをビデオにとって自分で見たら、それがいかに醜(みにく)いかわかる。
もし、神様がいるとするなら、そういう人は神様からは好かれない。
神様が好きな人は、まわりをあたたかな気持ちにさせ、喜ばせる人。
なかには、自分もクレームでお客に怒鳴られたから、自分も怒るんだ、などという人もいる。
自分がされて嫌なことは、人には決してしないことが、「お互い様の精神」なのに、あまりにさびしい人間だと言わざるをえない。
たとえ、お金を払うお客の立場であっても、ちょっとくらい嫌なことには、ユーモアで返すくらいの度量のある人は、粋でカッコいい。
すぐに怒ってしまう人は「ちいせぇヤツ」。
どんな時でも、自分もまわりも楽しくできる人は素敵でカッコいい。 |
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