2014.3.27 |
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誰かの役に立っていますか? |
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東大寺別当、筒井寛昭氏の心に響く言葉より…
「すべての職業に対して、価値を見いだしなさい」
お釈迦様はそうおっしゃいました。
この言葉を象徴する寓話があります。
肥(こえ)を運ぶ仕事をしている少年がいました。
肥といっても今の若い人はわからないかもしれませんね。
肥とは人間の糞尿のことをいい、昔は肥溜めという壺に溜めて、醗酵させたものを農作物の堆肥(たいひ)として使っていたのです。
ですから、人間には絶対に必要な仕事なのですが、そのにおいがたまらないと忌み嫌う人が少なくありませんでした。
肥を運ぶ作業をしているとどうしても服や体ににおいがつき、見た目にも薄汚れてきます。
「おまえは臭い」
「汚い!」
その少年は近所の子どもにからかわれ、友だちができませんでした。
いつもひとりぼっちで悲しい思いをしていた少年は、なんとか友だちを作ろうと、川で体を洗い清め、洗濯したての服に着替えて、きれいな体となってみんなのところに行きました。
ところが、みんなは顔を見た途端いつもと同じように冷やかにしました。
「あいつは臭いヤツだ」と先入観で判断し、相手にしようとはしなかったのでした。
「自分の仕事が卑しいからだ」
少年は諦めることにしました。
そんな折、村にお釈迦様が来られました。
少年は、自分のような人間が尊い方の前に姿を現しては迷惑になると思い、いつものように村の外れで仕事をしていました。
ところが、向こうからお釈迦様がいらっしゃるではありませんか。
お会いしないようにと横道にそれても、お釈迦様も道をそれてこちらに歩み寄ってこられたのです。
「いけない、いけない」
と道を変えようとあわてて体をひねったところで、担いでいた肥をひっくり返してしまいました。
すると、
「何を嘆いているのだ」
お釈迦様は、そう少年に声をかけられ、こう続けられました。
「あなたの仕事は人のためになっているのだから、卑屈にならなくていいのだよ」
少年はただただ胸がいっぱいでした。
以来、自分の仕事を蔑(さげす)むようなことはなくなりました。
私たちはともすると、表面的な部分だけを見て、その職業に憧れたり、疎んだりします。
そうではないのです。
仕事の本当の価値は、どのくらい人の役に立っているかで推し量るべきなのです。
あなたの仕事は誰かの役に立っていますか?
そうお釈迦様は問うているのです。
『仏様からのアドバイス』ワニブックス
人の役に立つ、とは何も大きなことだけではない。
挨拶一つ、笑顔一つ、思いやりある優しい言葉一つ、それだけで周りの人たちを明るくしている人は多くいる。
同じ仕事についている人でも、まわりに害毒をまき散らす人もいれば、会うだけで幸せになる人もいる。
犯罪(仕事とは言えないが)などは論外だが、ほんとうは、どんな仕事でも本来は人の役に立っているはずだ。
仕事が続いているということは、お客様から、「お金」という感謝の対価をいただいているからだ。
人の役に立とうと思って仕事をすれば、人を喜ばせようと、小さなことから工夫する。
人様のお役に立てる人でありたい。 |
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