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2014.3.21

とまらない


三浦知良氏の心に響く言葉より…

2014年の早春を迎え、僕はプロサッカー選手として29年目のシーズンへと走り出している。

月日を重ねるごとに、サッカーへの思いがひしひしと強くなっていく。

現役選手であることの充実感を、一日一日、大切なものとして噛み締めている。

一日、一歩、ワンプレーが、とても貴重なものに感じられる。

その重みが、僕を、俄然(がぜん)やる気にさせる。

シーズン前の練習試合。

スポーツ紙の記者がぞろぞろと見にきてくれる。

次の日の新聞には、今年47歳になる僕がピッチを駆ける写真が載る。

1月末の沖縄キャンプ最終日も午前中はハードに走り、夜の0時近くに飛行機で横浜に帰ってきた。

みんなぐったり。

僕はそのまま羽が生えた鳥のように夜の街へ消えていった。

でも、この時期はアルコールは口にしない。

オフだろうとオンだろうと、自分の中にルールがあるんだ。

そもそも僕はみんなと遊ぶことが好きなのであって、お酒はオプションの一つだから。

先日、通い詰めて20年になるスポーツクラブでこんな会話になった。

「カズのモチベーションは何なんだ。練習、嫌にならないの?」

「嫌じゃありません。皆さんも毎日お仕事されているじゃないですか」

今季はこれだけ出場したい、こんなプレーがしたいな…。

毎年毎年、僕は新しい気持ちでいる。

過去の延長ではなくて、心はリセットされている。

うわべだけ見れば、やることはあまり変わらなくても、中身は毎年まっさらなんだ。

シーズン前の練習試合も含め、もう何試合やったか分からない。

それでも飽きない。

サッカーを仕事として雇ってもらえる。

僕を必要とするクラブがあり、僕もそこでやる意志があり、そこでいいプレーができると信じてやっている。

そして楽しい。

5つの要件の幸せな一致。

もちろん、そうなるように努力を惜しんではならず、常に満足もしなきゃいけないね。

『とまらない』新潮新書


「僕が学びつつあること、つまりサッカーを20代で理解してしまう選手もいる。

でも未完成な僕には広がる余地もある。

だからまだまだ先があると思うんだ」

と語る三浦知良氏。

「一生燃焼 一生感動 一生不悟」 (相田 みつを)

60、70歳を過ぎても、たえず感動し、毎日を生き切り燃焼する人は、悟ったようなことは言わない。

常に「今日が人生の始まり」と、生まれたての子どものような気持ちで、新たな気持ちで日々を過ごす。

未完成で、欠点だらけだからこそ挑戦する価値があると思うのか、あるいはそこであきらめてしまうのか。

いくつになっても、とまらないで走り続ける人には限りない魅力がある。


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