2014.3.3 |
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凡人の戦い方 |
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星野明宏氏の心に響く言葉より…
「俺たちが花園で優勝したら、テレビや新聞がたくさん取材にくるぞ!」
このセリフは、まだうちのチームが合同チームだった頃に選手に言ったものです。
正直に申し上げます。
静岡聖光学院ラグビー部の監督に就いたときに、私が最初に感じたこと。
それは、「この環境は厳しいが、“オイシイ(美味しい)”」です。
メディアでは、様々なサクセスストーリーが取り上げられています。
内容は、大きく分けてふたつ。
ひとつは、エリートのサクセスストーリー。
もうひとつは、凡人のサクセスストーリーです。
世間から、より大きな共感が得られるのは後者です。
さらに、そこに苦難と挫折が加われば、共感はより大きくなっていきます。
多くの人は、サクセスストーリーというと、前者をイメージするようです。
しかし、凡人のサクセスストーリーのほうがインパクトが大きいことは、私が10年近くプロデューサーをしてきた中で痛感した紛れもない事実です。
なぜ、後者のほうがより共感されるのか。
私の人生もそうですし、うちのチームもそうですが、最初はうまくいかないことだらけだからです。
チームが崩壊しそうになったり、失敗した選手が投げやりになったりしたとき、私は、決まってシルヴェスター・スタローン主演の映画『ロッキー』を取り上げて次のような話をします。
人が、なんで映画のロッキーを観て感動するかわかるか?
強い人が、最初から最後まで圧倒的に強くて『どうだ!俺はすごいだろう!』という内容だったり、天才で金持ちの人間がずっとカッコイイままで大活躍してハッピーエンドという内容の映画やドラマをお前たちは観たいと思うか?
ロッキーの物語の9割は、予期せぬことや指導者からの理不尽な要求、誤解、仲間との衝突など、主人公が様々なことにもがいている内容なんだよ。
俺たちは、何の取り柄もない凡人。
俺たちのドキュメンタリーをつくったら、世間の人たちにカッコイイと思われるような内容にはまずならないだろう。
だからこそ、俺たちが何かを達成したときには、世間をアッと驚かせることができるかもしれない可能性を持っているんだ!
『凡人でもエリートに勝てる人生の戦い方』すばる舎
星野明宏氏は元電通マン。
才能やスキルがなくても勝負できる方法はある、と地方の弱小ラグビー部をわずか3年で花園に出場させた。
生徒の強みを伸ばすという、「自分をプロデュースする技術」を全員に身につけさせた。
凡人には凡人の戦い方がある。
凡人が、才能あるエリートのやり方を真似ても、挫折するだけだ。
八方塞(はっぽうふさ)がりの状況を、「この環境は厳しいが、“オイシイ(美味しい)”」と思えるか、どうか。
どんでん返しで勝つことほど、カッコイイことはない。 |
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