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2014.1.26

不老学

医師の後藤眞氏の心に響く言葉より…

ロビン・ウィリアムズ主演の「アンドリューNDR114」というファンタジックな近未来映画があります。

彼はロボットである「アンドリューNDR114」を演じていたのです。

示唆(しさ)に富んでいた映画でした。

アンドリューは、現在注目されている「人工知能(AI)」を備えてはいますが、どこもかしこも容姿はロボットそのもの。

それでも、ヒトと接触しながら人間的教養のパターンを覚えたすえ、ある美しい女性に恋をしてしまうのです。

その恋を成就するため彼が選んだ方法は、肉体的にも精神的にもヒトに近づけようと、最先端の技術でもって自分自身を改造することでした。

つまり、なんとヒトになろうとしたロボットの話です。

相手の女性はアンドリューの献身的な、それでいて謙虚な接し方にやがて魅了され恋心を受け入れます。

ふたりは時の政府に向かい、人間どうしとして結婚を認めるよう訴えます。

長い裁判となります。

やがて女性のほうは年老いていく。

片や永遠変わらなぬ姿。

出てきた判決は残酷でした。

「アンドリュー、あなたはどこから見ても、人間そのものです。

しかし、それを認めるわけにはいきません。

あなたはやはり人間ではない。

なぜなら、年をとらないからです」

この映画にはヒトの条件がはっきりと意識されていました。

その条件とは「老化する」ことだということ。

つまり老化とはきわめて人間的な現象であるということなのです。

『痛快! 不老学』集英社


人間には、誰しも受け入れなければならない真理が、たった一つだけある。

それが、「生まれたら、いつかは必ず死ぬ」ということ。

「不老不死」の妙薬を求め、古来より多くの王侯貴族がそれを探した。

老いることが恐かったからだ。

しかし、まわりの知り合いが次々と世を去っていく中、自分だけが何百年も生き残ったとしたら、それは逆の意味で悲惨だ。

「人生とは何ですか?」、と聞かれたとき、今東光和尚はこう言ったという。

「人生は冥土までの暇つぶし」

ジタバタせずに、この世を生きられたら幸せだ。



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