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2014.1.9

もっとも肝心なもの

中村天風師の心に響く言葉より…

ここに面白い話があります。

古代神話です。

昔、悪魔がある町に現れて、「今日から、お前たちのものをすべて俺は奪い取ることにする。

しかし悪魔にも情けはある。

明日までに残しておいてほしいものを一つだけ書き出せ。

それ以外のものは一切、俺が奪い去るからな」

と言い残して、悪魔はひとまず立ち去った。

さあ、町の人はてんやわんやの大騒ぎ。

「俺はお金だ」「俺は食いもの」「私は家だ」「いや、私は名誉だ」「私は宝石よ」と、それぞれいろいろなものを書き出した。

あなた方だったらどうする?

悪魔はたった一つだけしか見逃してくれないんだぜ。

さてさて、一夜明けてみると、その町にはなんと、たった一人の人間だけしかいなくなっていたとさ。

もうわかったね。

金だ、家屋敷だ、やれ宝石だ、やれ何だと書き出した人々は、もっとも肝心な「命」を忘れていたんだね。

たった一人だけが「命」と書いていたので生き残ったというお話です。

金だ、家だ、仕事だ、名誉だ、愛だ、って、確かにみんな大切なものではありますが、命あってのものでしょう。

それ以外は所詮は人生の一部でしかないんですぜ。

罰当たりな現代人よ、人生の一部が手に入った入らないで、悩んでいないか…。

『ほんとうの心の力』PHP研究所


どんなひどい困難に出会おうと、病気や事故になろうと、死ぬことと比べたらすべては「カスリ傷」のようなもの。

もし、明日死ぬ、とわかったら、多くの人が、今ある何げない当たり前のような幸せに感謝することだろう。

歩けること、空気が吸えること、友や家族と語らえること、大喧嘩(おおげんか)したことでさえ、愛(いとお)しくなる。

金も、家も、名誉も、宝石も、いかに大切なものであろうと、死んだらこの世に置いていかなければならない。

それなのに、悲しいかな人間は、目の前のモノや金や名誉をもっともっと、と欲しがってしまう。

もっとも肝心な、「生かされている」ということに比べたら、すべてはちっぽけなこと。

すべてのことに感謝して、ありがたさをかみしめ生きていきたい。



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