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2013.11.9

街を汚す行為に正義はない

NPO法人フェンスクリーンプロジェクト代表、手登根安則氏の心に響く言葉より…

私たちは鍵山秀三郎相談役の言葉に非常に心打たれました。

「いかなる理由があろうとも街を汚す行為に正義はない」

もう鳥肌が立つぐらい心が震えました。

私たちがいつも考えていること、やっていること、そのままではないかと。

沖縄では「反戦平和」、あるいは「反オスプレイ」「反米」「反自衛隊」といえば何をやっても許される。

犯罪まがいなことをしても新聞はいいようにしか取り上げない。

それをいいことに、さらにエスカレートして、「法律なんか糞(くそ)くらえ」と。

本日実際にご覧になられたと思いますが、横断歩道を塞(ふさ)いで米軍関係者に罵声を浴びせ、人の土地のフェンスに旗やテープを括(くく)りつけていくわけです。

そういった現状に警察も手が出せないでいます。

それが罷(まか)り通る現状下で私たちのような一市民が声を上げ、行動するのは非常に勇気の要ることだったのですが、こうして鍵山相談役をはじめ県外の方々にも応援していただけるようになったのは、大きな驚きでもあり、同時に深い喜びでもあります。

このフェンスクリーンプロジェクトを始めて、ちょうど1年になります。

沖縄では「反オスプレイ運動」の一環として米軍基地のフェンスに赤いガムテープが巻かれるようになりました。

この赤いガムテープは平和の象徴であり、これを剥(は)がすことは平和への冒涜(ぼうとく)だと言われ、誰も触れられない状態でした。

そんな中で私たちの仲間である若者二人が「こんな平和活動はおかしいじゃないか」と立ち上がり、ガムテープを剥ぎ始めたのがスタートでした。

そうして一人増え、二人増え、三人増え…、いまでは常時40〜50名にボランティアで参加していただけるようになったんです。

特定の団体や思想、宗教は一切関係ない。

参加者は、とにかく汚い街を放置することが許せないという方や、子供に恥ずかしくない後ろ姿を見せたいという方など、いろんな思いを持った方々が集まりまして、毎週日曜日の朝に活動を行なっています。

私たちはこの活動を「北風と太陽作戦」だと思っているんです。

イソップ童話にありますね。

これをいまの沖縄の基地問題に置き換えると、北風は平和活動家の方々です。

米軍兵士やその奥さん、子供たちにまで「ヤンキーゴーホーム!」と罵声を浴びせ、周辺のフェンスを汚す。

当然、アメリカ人は顔をこわばらせて見向きもしません。

心をどんどん閉ざしていきます。

一方私たちはフェンスの清掃と併せて、「ハートクリーンプロジェクト」という活動も行なっていて、平和活動家たちが罵声を浴びせているストリートに私たちも一緒に立って、5メートルくらいの横断幕を広げ、米軍関係者にフレンドシップを呼び掛けています。

そして笑顔で「おはよう」と声掛けしているのです。

こういう活動を通じて、我われ日本人と米軍の間に信頼が醸成されて、絆が生まれる。

そうして真の友人になってから、「俺たちは基地に対してこう思っているから、こう変えてほしい」と言えるのではないか。

そうして初めて相手にも伝わるのではないかと思っています。

実は、今日も私は平和活動の方から顔に唾(つば)を吐きかけられましたが、1度は30人ほどから取り囲まれ、「ここに基地賛成派がいるそ、吊(つる)し上げろ!」と言って、「ノー オスプレイ」とかかれたプラカードで引っ叩(ぱた)かれたこともあります。

罵詈雑言(ばりぞうごん)を浴びせかけられるのは日常茶飯事。

毎週日曜日にフェンスをきれいに掃除すると、今度は平日に赤く染められる。

私たちが剥ぐ時に怪我(けが)をすることを狙っているかのように、テープの中にはガラスの破片や針金が入っていることもある。

にも拘(かか)わらず、沖縄のメディアは私たちの活動のほうを「平和運動の妨害をしている」と書き立てるんです。

しかし、そこで腹を立てては相手と同じ土俵に立ってしまいますからね、私はニコっと笑っているだけです。

“小さな実践の一歩から”(鍵山秀三郎&手登根安則)

『月刊致知 2013年12月号』致知出版社


手登根安則(てどこんやすのり)氏は、昭和38年沖縄県生まれ。

13年間のPTA活動を通じ、沖縄の教育界の問題点などを検証する沖縄教育オンブズマン協会を立ち上げた。

この文章は、彼らの活動に感銘を受けた、日本を美しくする会相談役、鍵山秀三郎氏との対談の中より抜粋した文章だ。

30年前(1980年頃)のニューヨークの地下鉄の犯罪率は目を覆(おお)うばかりで、「旅行者は地下鉄に乗るな」とさえ言われていた。

対策として行なわれたのが、「地下鉄の落書きを消すこと」。

その15年後には、なんと地下鉄の犯罪が75%にまで激減したそうだ。

その成果をもとに、空缶のポイ捨てや、落書き消しなど、街のクリーンアップ作戦を警察が実行し、ニューヨーク全体の犯罪も半減したという。

「いかなる理由があろうとも街を汚す行為に正義はない」

誰かがが片付けてくれるだろう、誰かが掃除をしてくれるだろう、と言って道路や、街を汚す人は、幼児性が抜けきらないわがままな子供と同じ。

きれいな言葉を使い、街をきれいにする生き方は素敵だ。



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