2013.11.2 |
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背中を意識すること
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竹内一郎氏の心に響く言葉より…
長嶋茂雄氏が現役時代、投手の背中を見るとその日の調子がわかる、と言っていたのを覚えている。
背中は自分の目で直接見ることができない。
それだけに、「気をつけること」の難しい場所だ。
吉川英治に「背中哲学」という随筆がある。
「どんなに豪快に笑い、磊落(らいらく)を装っていても、その背中を見ると、安心があるかないかがわかる気がする」という。
郷ひろみさんは、1955年生まれだからもう還暦も近いのに、年齢を感じさせない身体を維持している。
彼はこんなことを言っている。
「運動では腹筋よりも背筋を鍛えることが大事なんです。
みんな見た目で腹筋をやりたがるけど、背筋がないと背中が丸まる。
正面からは見えない背中が、人間を支える一番大事な部分です。
人間も外から見えない内面が大事。
それを僕は運動から教わったんです」
腰痛で苦しんでいる人は、腹筋と同じように背筋を鍛えると痛みが軽減する。
筋肉の力で、間接への圧迫を和らげるのである。
能の大成者・世阿弥はその奥義書「花鏡」に「目前心後」という言葉を載せている。
彼が考えた舞の奥義の一つである。
まず、自分の目で前を見る。
次ぎに、自分の心を背中の後に置いてみる。
その心が見て「美しい」と思う背中を作ってみる。
人に見られていい「背中」ができる。
私の子どもの頃は「姿勢をよくしなさい」と、しょっちゅう大人が怒っていた。
学校でも家庭でもそうだった。
昔と比べると、子供に「姿勢をよくしなさい」と言わなくなったように思える。
『やっぱり見た目が9割』新潮新書
背が低くても、背筋が伸びてサッサとリズムよく歩く人は、実際より大きく見え、自信がありそうに見える。
反対に、背が高くても、猫背でトボトボと歩く人は、実際より小さく見え、自信なさげに見える。
哲学者の森信三先生は、「立腰(りつよう)」《腰骨(こしぼね)を立てる》、ということを提唱されていた。
腰骨を立てると、主体性が確立し、やる気や集中力が増し、持続力がつくという。
立腰は、日本では昔から、武道や禅などでもずっと言われてきたこと。
立ち居振る舞いの美しさも、立腰が基本。
美しい「背中」ができている人は、立腰ができている人。
常に「背中」を意識し、姿勢をよくしたい。 |
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