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2013.10.17

ルールを変える

川上量生氏の心に響く言葉より…

ルールを変えるという発想を持つことは、「無用な戦いを避ける」ことにもつながります。

現実世界で誰かと戦いを始めれば、必ず泥沼にはまっていくことになります。

それは、たとえば「みんながやっていること」に追随していたのでは、独自性が失われ、競争力が弱くなっていくのと同じです。

独自性を持つ、独自性を保つ…というのは非常に難しいことです。

たとえば、その独自性が「お金で解決されてしまうこと」、つまり「他社が資本を投下することで簡単に追随できること」であれば、意味はありません。

そのことが真の差別化要因になった瞬間に、他社も追随するだけの話でしょうから。

独自性を保つ上では、明快で他社が追随しやすい差別化を行なうよりも、何が差別化なのか、ちょっと考えただけでは理解できないものであり続けることが大切だというのが僕の考えです。

そのためには、自分自身が理解できることであってもダメなんじゃないかと実は思っています。

なぜなら、自分が理解できるものは、他人も理解できる可能性が高いからです。

自分でもわからないものであれば、他人もわかりようがありません。

こう書くと「それならめちゃくちゃなのがいいということか?」と思われるかもしれませんが、それも違います。

理解できそうで理解できないぎりぎりの境界線上に答えがあるというのが僕の結論です。

「きちんと説明できないんだけど、正しいと自分が思うこと」…これを人間は「感性」という言葉で表現してきたのではないでしょうか。

「感性」のところまでいけば、競争が起こる可能性はかなり減る。

人間が理解できるかできないかのギリギリのところにあり、なおかつ微妙に説明がつかないようなところから、ヒット作は生まれると思います。

僕は社内で「ギリギリセーフではなくギリギリアウトを狙え」とよく言います。

むしろ「理屈ではやってはダメなこと」をやったほうがいいのです。

「コンテンツとは、わかりそうでわからないものである」と定義すれば、そうであろうとする行為自体が“コンテンツの目的”にもなり得るということです。

実際に、小説家や漫画家の中には、それをテクニックとして用いて物語を描いている人もいるようです。

たとえば、「MONSTER」や「20世紀少年」で知られる漫画家の浦沢直樹さんも、あれだけ先の展開が読めない緻密な物語を、事前にすべて決めてから描いているわけではないとのこと。

以前、浦沢さんが「自分でも先がわからないまま描いている」という話をされていたのを聞いたことがあります。

作者も先がどうなるかわかっていないのだから、読者もわからないのはある意味あたりまえです。

だから、読者もドキドキ感やライブ感を持って作品を楽しむことができるのです。

『ルールを変える思考法』角川EPUB選書


川上量生氏は、京大を卒業して創業したドワンゴの代表取締役会長。

会員数3000万人を突破した「ニコニコ動画」を生み出した。

世界の巨人「YouTube」を相手に、インターネットの世界で、日本発として生き抜くには相当の戦略思考が必要だ。

それが、ゲリラ戦であり、ルールを変えること。

曖昧(あいまい)さやぼんやりとした「何となく好き」という感性の部分は、これからのビジネスではとても大事なことだ。

高い安いという基準で判断せずに、好き嫌いという感性で決めたものは長続きする。

安く買ったモノは高くなればやめてしまうが、好きで買ったものは続くからだ。

「損得というルールから、感性のルールへ」

インターネットが進めば進むほど、感性は更に必要となる。



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