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2013.10.12

失敗への対処がうまい人

広岡勲氏の心に響く言葉より…

私は10年間、メジャーリーグベースボールの現場で仕事をしてきた。

そこで彼らから学んだことがある。

それは、一言で言うなら「(失敗をしないことではなく)失敗に上手に対処する」ことの大切さである。

大リーグの名選手とは「失敗への対処がうまい人」だと断言してもいいだろう。

大リーガーとは、選び抜かれた一流選手だから、ほとんど失敗しないかと言えば、そうではない。

野球というスポーツは、どんなに一流であっても、失敗の方が多いスポーツだからである。

例えばイチロー選手が大リーグで最高打率を残したシーズンの数字は、704打数262安打であった。

差し引きして、442打数はノーヒットに終っている。

つまり、野球の世界においては、どれほどの一流選手であろうとも、結果だけみれば“成功よりも失敗の方が多い”のだ。

もっとはっきり言うなら、最高の打者であっても半分以上は失敗に終るのだ。

だから私はこう考えている。

一流の野球選手を支えているのは、成功の裏にある失敗との向き合い方ではないだろうかと。

失敗との付き合いがうまくなければプロ野球ではやっていけない。

まして一流選手になど、なれるはずがない。

大リーグで成功した選手たちは、失敗とうまく付き合うスペシャリストと言っていいだろう。

私はそんな彼らを長年、間近に見てきた。

生まれつきハンディキャップを抱えても…

致命的な怪我を負っても…

どんな壁にぶつかっても…

挫折に直面しても…

限界が近づいても…

「もうだめかもしれない」と思っても…

それでも前に進んでいく。

だから、彼らの言葉には「いかに失敗と対処して、成功に導くか」、そのための方法がたくさん詰まっているのだ。

■ウォーレン・スパーン(大リーグ左腕として最多の363勝をマーク)

「野球とは失敗のスポーツだ。

最高のバッターでも、およそ65%は失敗する」

■野茂英雄(今日の日本野球に国際化をもたらした最大の功労者)

「生きる力とは、成功を続ける力ではなく、失敗や困難を乗り越える力だと考えます」

■ベーブ・ルース(通算714本塁打を放ち、野球人気を最大にものとした巨人)

「オレは自分の持っているすべてをかけてバットを振る。

大きく打つか、大きく外すかは二つに一つだ」

■ハンク・アーロン(右打者では史上最多本塁打755本を記録した大打者)

「大事なのは二つのことです。

一瞬を逃さないよう、しっかり準備しておくこと。

そして思い切り振り抜く勇気を持つことです」

『負けない心』ディスカヴァー


2003年、広岡勲氏は、松井秀喜選手の求めに応じてニューヨーク・ヤンキースに入団。

日本人初の球団広報に就任した。

人生も野球と同じで、成功より失敗の方が圧倒的に多いのが普通だ。

生まれて、立ち上がれば転び、そしてまた立ち上がり、前に進む、そんな連続だ。

「七転び八起き」

何度失敗しても、あきらめずに起き上がる人でありたい。



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