2013.7.19 |
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熱くてクール
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秋庭道博氏の心に響く言葉より…
「高ぶりが来れば、恥もまた来る。
へりくだる者には知恵がある」 (聖書・箴言11章)
「5年後には、業界のトップに躍り出る」などという2代目社長の言葉には、あきらかに、若くして社長の座に就いた高ぶりが感じられる。
しかし、勝算のないことを口走るだけでは、だれもついてこない。
具体的なプランも示さず、夢と現実との区別もつかずに、ただ興奮しているだけで、事業が上手くいくはずがない。
業績は業界のトップどころか、社運を傾かせることになって、やがて、社長の座を追われることになる。
世の中には、「お調子者」とか、「一言多い人」などと評される人がいるが、それらの人の共通点は、みずからの高ぶりをコントロールできないことだ。
その結果、勇み足があったり、言わずもがなのことを口にして、信用を失い、笑い者になったりする。
「へりくだる」とは、調子に乗りそうになったときに、ブレーキを踏むことだ。
興奮している自分を、なんとか平静な状態に戻そうと努力することでもある。
自分を客観的に見ることだといってもいい。
ギャンブルは熱くなったら負けだが、人生も熱くなったら、そこから味方になってくれる人はいない。
そして、孤立しては、何も成功しないのだ。
『疲れた心をなごませる言葉』PHP文庫
人が生きていくには、燃えるような情熱や、熱い気持ちがなかったらおもしろくない。
しかし、「情熱」と、ただ興奮しているだけの「高ぶり」とは違う。
ごくまれに、スポーツでエキサイトして、「相手(チーム)をぶちのめす」、というような発言をする人がいる。
逆の立場になってみればわかるが、そういわれた人(チーム)の心中穏やかであろうはずがない。
高ぶっている人は、人の立場に立って考えることができない。
同様に、「お調子者」も「一言多い人」も、客観性にかけている。
熱い情熱も持ちながら、しかも周囲のことも考えられる冷静さも合わせ持っているのが本当の大人。
熱くて、クールな大人でありたい。 |
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