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2013.7.3

ほんとの美人

瀬戸内寂聴氏の心に響く言葉より…

私は子供のころ、母から「お前はきりょうが悪いから、せめて、にこにこして人に対しなさい」とよくいわれた。

きりょうを悪く産んだのはおかあさんのせいでしょうと、私はむくれたが、あんまりよくいわれたので、つい、人に会うと、とっておきの笑顔をするようになり、きりょうは悪いけどあの子は、人なつこくて、愛きょうがあるといわれるようになった。

「世間には美人と言われる女もいるけど、とかく器量よく生まれついた女は、子供の頃から甘やかされて育つから、人間が練れてなくて、面白味のない女になっちまう。

器量は大したことないのに、ああ、いい女だねえって、人に思わせるのが、ほんとの美人というもんだよ」

『切に生きる』扶桑社


いい女と同様に、いい男、味のある大人の男には、また会いたいと感じさせる余韻がある。

余韻とは、深みであり、陰影だ。

いい女(男)とは…

「酸(す)いも甘いも噛(か)み分ける」という言葉があるが、人生経験を積んで、人の心の機微が分かる粋な人。

散々苦労をしていても、それが少しも顔に出ない人。

愛きょうがあって、笑顔の素敵な人。

持って生まれた器量の良し悪しではなく、「ああ、いい女(男)だねえ」と、しみじみ人に思わせるのが真に魅力的な人。

しみじみとは、心の底から深く感じることであり、余韻。

大人になったら、余韻のある人でありたい。



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