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2013.6.17

人望の法則

西田文郎氏の心に響く言葉より…

「成功するために最も必要な能力はなんですか」

という質問を、じつに多くの経営者からいただく。

それに対して私はいつも、

「求める成功のレベルによりますが、経営者として大きく稼ぐためには人望が必要で、人望のあるなしで成功のレベルが決まります。

目安としては社員数30名くらいの小さな組織なら、トップに稼ぐセンスさえあれば、人望があろうがなかろうがうまくいきます。

しかし、さらなる成功を目指すなら、たとえば年商100億円以上の企業を目指す、しかも短期的な規模拡大ではなく永続的な繁栄を望むなら、人望がなければ組織不全を起こすか、さもなくば社長ご自身が心身ともに破綻します」

とお答えすることにしている。

当然ながら、経営者が思い描く夢や目標が大きければ大きいほど、その実現のために多くの協力者を要する。

経営者を支えてくれる社員や家族の献身的な努力をはじめとして、取引先、金融機関、有力者の協力、なによりお客様の支持を得ないことには事業の成功はないからだ。

とりわけスポーツの世界では、監督やチームキャプテンといった組織を率いる役割の人間が人望を身につけ、組織を自在にコントロールできるようになると、プレーヤー個々の能力が5倍、10倍発揮されるような「集合天才型組織」となり、驚異的な成果をたたき出す。

これは絶対に覚えておいて欲しいのだが、組織の結束力や構成員一人一人の能力というのは、上に立つ者の器(うつわ)や力量で高くも低くもなる。

ひと言でいえば、相手のモチベーションをどれだけ上げられるかという差なのだが、その大もとになるのが、組織を率いる人間の「人望」にほかならないのだ。

しばしば混同されるが、「人気」と「人望」は違う。

「人気」というのは、いわば「責任のない人望」である。

「責任のない人望」のある人は、多くの人から好かれる人気者であるが、「この人についていけば間違いない」「頼りになる人」とは決して思われない。

だから、多くの人を率いなければならない立場の人が、人気という「責任のない人望」しか発揮できないのであれば、非常にマズイのである。

言い換えれば、「いい人でいたい」「好かれたい」「格好良く見られたい」と思うような人は、「責任ある人望」とは無縁だと考えるべきだろう。

なぜならそういう人たちは、他人の目や思惑(おもわく)に影響を受け、それを判断材料としているため、簡単に自分の信念や行動を変えてしまうからだ。

『人望の法則』日本経営合理化協会出版局


松下幸之助翁はこう語っている。

「小さい会社の経営であれば、率先垂範して部下の人に命令しながらやることも必要だけど、これが百人とか千人とかになれば、それではあかんね。

心の底に、“こうしてください、ああしてください”というような心持ちがないといかん。

これがさらに1万人、2万人となれば、“どうぞ頼みます”という心境に立たんと駄目やな。

けど、もっと大きくなると、部下に対して“手を合わせて拝む”という思いがないと、いかんということや。

わしはそういう心で経営をやってきた」

(同書より)


1万人、2万人の部下とは言わず、例えば隣近所や、PTAとかボランティアの会というあまり利害関係のない組織の長になってしまったときなど、まったく同じことが言える。

命令や威圧では人は絶対に動かない。

心の底に、「どうぞ頼みます」とか、「手を合わせて拝む」気持ちがなければ人は自らは動かない。

決して、威張らないし、命令もしないが、なぜか人が言うことを聞き、思い通りに動いてくれるのが、「人望」のある人。

あの人がいうなら、仕方ない、ついて行こうと思わせる人。

そして、人を喜ばせ、感謝の多い人。

生涯かけて、真の人望を身につける努力を続けたい。



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