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2013.6.4

「物語」を買う

山口揚平氏の心に響く言葉より…

ふたりの天才画家、ゴッホとピカソの偉大な名声なら、誰もが知っているだろう。

だが、ふたりの生前の境遇には、天と地ほどの差があった。

ゴッホの人生であまりに有名なのは、多くの職を転々としながら苦労して画家となり、ゴーギャンとの共同生活が破綻した後、みずからの耳を切り落としてしまったエピソードであろう。

ゴッホは、弟テオの理解と援助のもとで創作活動を続けることができたが、その2000点にものぼる作品のうち、生前に売れた絵はわずか1点のみだった。

ピカソは違った。

その卓越した画才もさることながら、私人としても成功した。

91歳で生涯を閉じたピカソが、手元に遺した作品は7万点を数えた。

それに、数ヵ所の住居や、複数のシャトー、莫大な現金等々を加えると、ピカソの遺産の評価額は、日本円にして約7500億円にのぼったという。

美術市場、ピカソほど生前に経済的に成功に恵まれた画家、つまり「儲かった」画家はいない。

では、両者の命運を分けたのはなんだったのか?

それは、ピカソのほうが「お金とは何か?」に興味を持ち、深く理解していた、という点ではなかったか。

ピカソがお金の本質を見抜く類まれなセンスを持っていたことがうかがえる逸話が、数多く残されているのである。

特に、自分の絵を販売することに関しては天才的で、ピカソは新しい絵を描き上げると、なじみの画商を数十人呼んで展覧会を開き、作品を描いた背景や意図を細かく説いたという。

絵が素晴らしいのは前提だ。

だが人は、作品という「モノ」にお金を払うのではない。

その「物語」を買うのだ、と彼は知っていた。

そして、たくさんの画商が集まれば、自然に競争原理が働き、作品の値段も吊り上がる。

ピカソは、自分の作品の“価値を価格に変える方法”今でいえば“マネタイズ”の方法をよく知っていたのだと思う。

『なぜゴッホは貧乏で、ピカソは金持ちだったのか?』ダイヤモンド社


ピカソは、日常、小額の支払いであっても、好んで小切手を使ったという。

ピカソは当時から有名だったため、商店主は小切手を銀行で現金に換えないで、直筆サイン入りの作品として額に入れて飾っておくだろう、と考えたからだそうだ。

また、シャトー・ムートン・ロートシルトというフランス、ボルドーの有名な高級ワインがある。

その1973年のラベルはピカソがデザインしたが、その対価はお金ではなくワインで支払われたそうだ。

ラベルの評判が高ければ高いほど、ワインの価値は高まり、高値がつくからだ。

(以上、同書より抜粋引用)


コンサルタントの藤村正宏氏は、『「モノ」ではなく「体験」を売れ』という。

体験とはモノの背後に隠されたストーリーのことだ。

テレビでよくやっているが、目隠しでワインの銘柄を当てる番組がある。

しかし、ワイン通と言われる芸能人のほとんどがその銘柄を当てることができない。

これは、料理でも同じだ。

ファミレスの中華と、高級店の中華も当てることができなかった。

なぜなら、人は味とか品質というモノを買うのではなく、ブランドとか、銘柄というストーリーを買っているからだ。

どんな業界であっても、「物語」を伝えることはとても大切だ。



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