2013.5.30 |
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挨拶のレッスン
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村上隆氏の心に響く言葉より…
スタッフに対してぼくが最初に行なっているのは、ペインティングのレッスンなどではなく挨拶のレッスンです。
挨拶も満足にできない人間は、組織の中で生き残っていくことも、アートの世界で生き残っていくことも絶対にできません。
そういう部分では“企業の論理”と共通するところも多いのだと思います。
実をいうとアートの世界は、一般の企業にもまして、こうした部分を徹底していかなければならない業界です。
アート業界はご機嫌取りとは無縁の世界だと考えているのだとすればまったくの誤解です。
むしろ“どれだけうまくご機嫌取りができるかが問われる世界”です。
ご機嫌取りの対象は世間である場合もあれば、特定の個人、顧客である場合もあります。
そんな世界の中で成功するには、そのための方法があります。
その第一歩が、覚悟を持ち、ちゃんとした挨拶のできる人間になることです。
それはただの道徳教育などではなく“成功するための道筋”です。
アーティストになりたい。
世界に自分の名前を売りたい…。
明るい未来が待っていることはまずありません。
なぜならば、美大に4年間通っただけでは、芸術というものの本質や、芸術で成功するための方法論を学ぶことは期待しにくいからです。
絵がうまい人が、名のある美大に進めば将来は保証されると考えているのかもしれませんが、それは幻想です。
それよりも、絵が下手であっても、挨拶の作法をゼロから学んでいくほうが、はるかに有効です。
それが芸術の世界です。
顧客との関係性において、ぼくたちアーティストは常に“下からお伺いを立てる立場”にあります。
「いつか自分の作品がわかってもらえる日が来ればいい」と夢想していても、その人の目の黒いうちにその日がくることはほぼあり得ません。
理解してもらうためには、ただただ歩み寄る。
いつか世間に見直してもらえるといった考えを捨てることこそが、芸術家として身を立てる第一歩、成功するための仕事術の第一歩になるのです。
『創造力なき日本』角川oneテーマ21
アーティストに限らず、設計家、デザイナーなど、何かを買ってもらって生活している人には、必ず顧客が存在する。
顧客があって初めて、お金という対価を得ることができる。
これはどの商売でも同じこと。
しかし、特に若い芸術家やその卵は、理想に燃え自分を過信し、結果として顧客をないがしろにすることがある。
料理が群を抜いて上手であったとしても、顧客に不愛想で挨拶一つできなければ、店はいずれ衰退の一途をたどることになる。
これは、芸術家や料理人に限らず、どのビジネスの世界でも同様だ。
挨拶や返事という人間関係の基本はとても大事だ。 |
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