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2013.5.7

成功の反対は「何もしないこと」

登山家、栗城史多氏の心に響く言葉より…

私は山登りを通して、苦しみには3つの特徴があることに気づきました。

1つは、「苦しみと闘おうとすればするほど、その苦しみは大きくなっていく」。

もう1つは、「苦しみから逃げても、どこまでも追ってくる」ということです。

人間の身体器官の中で、酸素の使用量が一番多いのが脳だといわれています。

そのため、苦しい時に焦ったり、熱(いき)り立ったりすると、脳がどんどん酸素を消費してしまいます。

7500メートル以上の世界では、少ない酸素をいかに無駄なく取り入れるかが大切なので、体力的に、精神的に本当に苦しい時に、あえてそこで「ありがとう」と言いながら登るんです。

そうやって苦しみを受け入れると、不思議と心が落ち着いてきて、無駄な酸素を使わずに山を登ることができるんです。

そして特徴の3つ目は、「苦しみは必ず喜びに変わる」ということ。

例えば、高尾山のような低い山は簡単に登れてしまうので、登頂してもあまり感動は沸いてきません。

しかし、8000メートル峰を登頂した時は、それまでの苦しみが大きい分、得られる達成感も半端じゃない。

苦しみの分だけ、喜びがある。

だから、苦しみは決して悪いものじゃないと考えています。

信条としてきたことはいろいろとありますが、まず「一歩を踏み出す」こと。

そして「諦めない」ということが、私の生きる姿勢かもしれません。

山登りでは1歩を踏み出さないと頂上にはいけません。

登山に限らず、地上のいろいろなチャレンジにおいても、「できる」「できない」と考える前に、まずはやってみることが大切だと思うんです。

私がエベレストを登頂できずに下山して帰ってくると、周りからは「失敗した」って言われるんです。

でもそれはちょっと違います。

成功の反対は失敗ではなく、本当の失敗とは「何もしないこと」です。

私は山登りを通して、挑戦し続けていく先に必ずや登頂や成功があるのだと確信しています。

だからこそ、諦めないことの大切さを伝えていきたいと思っています。

“終わりなき頂上への挑戦”より

『プロフェッショナルへの道』致知出版社


栗城史多氏は、昭和57年北海道生まれ。

北米最高峰マッキンリー単独登頂の成功を始めとして、高峰チョ・オユー(8201m)やマナスル(8163m)、ダウラギリ(8167m)等を、次々と単独・無酸素登頂、動画配信にも成功した。

苦しい時、そこから逃れようとして、もがけばもがくほど、うまく行かないことは多い。

苦しさや、問題は、逃げれば逃げるほど、追いかけてくる。

禅では、そんなとき、「苦しい時は苦しさにひたりきれ」、という。

思い入れや執着を、放り投げ、捨て去ったときに、ひたりきることができる。

ひたりきれば、苦しさと自分が一体となり、そこに感謝が生まれる。

我々は、子どもの頃から、失敗するたびにまわりから、「説教」、「注意」、「批判」、あるいは「誹謗中傷(ひぼうちゅうしょう」を受けてきた。

そして、「無理」、「できない」、「難しい」、という言葉に囲まれてきた。

『成功の反対は失敗ではなく、本当の失敗とは「何もしないこと」』

多くの心無い言葉は、「何もしなかった人」から発せられる。

何回失敗しようと、諦めずに「一歩を踏み出す人」でありたい。



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