2013.4.22 |
|
その日その日を大事に
|
|
松下幸之助氏の心に響く言葉より…
私は皆さんのご愛顧をこうむりまして、松下電器を主宰しております。
商売をしてから今日まで48年になるんですが、この間(かん)ほんとうのことを申しあげると、あんまり計画性をもたなかったと思うんです。
「そんなことはない。
やはり松下電器は、それ相応に計画性をもってやっているだろう」
とおっしゃっていただけるかもしれませんが、正直なところは、私はそう遠い計画性をもってやっておらなかったと思うんです。
まあその日その日を大事に扱ってきた、その日その日を大事に仕事をしてきたということが、私をして今日を成さしめたように思うんです。
ひとつ大きな工場を建ててやろうというような遠大な計画というものは、当時をふり返ってみますと、もっておらなかったように思うんです。
あす、あさって、来月は、というような程度には、多少ものを考えたこともありましょうが、だいたいはその日の仕事を大事にしてやってきたと、こういうようなことが実は今でも正直にいえるのです。
その日を大事にすることによって、その日を全うし、あすを迎える。
そこに、朝と晩とでは多少の進歩があろうと思うんです。
その日を大事にするということによって、一日のあいだに何ほどかの進歩がある。
翌日は、その進歩に始まって、また次の晩にはさらにそれを進歩させてその翌日を迎えるという連続であったんではないかという感じがいたします。
私は、自分が歩んできた道から考えて、私どもの身近の青年にはそういうことを話しているんです。
「夢を失ってはならんということが、よく本なんかに書いてあるから、それは1つの見方として私は否定はしない。
否定はしないけれども、夢を見て現実を忘れるようなことがあってはならない。
だから、やはりその日の仕事を大事にしていこうやないか。
あすはあすの風が吹くやないか。
それよりも、きょうをひとつ大事にしようやないか」
ということを、私はときどき言うんです。
そういう、その日その日を大事にしていく商売、その日その日を大事にしていくところの仕事というものが積み重なってまいりますと、そこに一歩一歩の進歩というものが必ず積み上げられる。
それがついに大きな仕事ともなり、大きな信用ともなり、またお得意先に喜んでもらえる立派な仕事ともなってくるやないかという感じがいたします。
『人生と仕事について知っておいてほしいこと』PHP研究所
アメリカで成功者の生涯を調べたところ、8割の人が元々目指していた夢を実現したわけではなく、偶然の積み重ねでこうなった、という結果がでたそうだ。
つまり、小学生の頃からずっと目指してきた野球選手やサッカー選手になれた、というのはごくごく稀(まれ)な例。
人生には予想外のことがたびたび起こる。
どんなに強い決心と熱意を持って描いた夢でも、心ならずも変えなければならないことは多くある。
大事なことは、どんな状況に置かれても、そこで、愚痴をいったり、世を呪(のろ)ったり、くさったり、ふて腐れたりしないこと。
蒔(ま)かれたところで、文句を言わずに咲く花は美しい。
たとえ、コンクリートの間であろうが、少しの隙間から芽を出し、可憐な花を咲かせることはできる。
夢を持つことは悪いことではないが、夢ばかり見て現実を忘れることがあってはならない。
目の前の一事に、わき目もふらず一所懸命になれる人には、必ずチャンスがめぐってくる。 |
|
|