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2013.3.10

みんなが賛成すること

セブン&アイグループ総帥、鈴木敏文氏の心に響く言葉より…

人間の脳は本来、省エネで動くようにできていて、限られたエネルギーをできるだけ有効的に使おうとする。

人が生物として生きるには、その仕組みが適しているのだろう。

ところが、ビジネスマンとして成功するには、これは逆効果に作用するようだ。

キーになるのは「認知コスト」という概念だ。

認知コストとは、脳が思考に費やすエネルギー、いわば、脳内コストのことだ。

脳は、この認知コストをできるだけ下げようとする。

典型が、まわりの意見に対する反応だ。

「信じる」と「疑う」とでは、「信じる」ほうが認知コストが軽減される。

そのため、脳はできるだけまわりの意見に従おうと働く。

こうした脳本来の習性が、ビジネスにおいては、ときには逆効果になることを警告したのが、鈴木氏のこの言葉だ。

「みんなが賛成することはたいてい失敗し、反対することはたいてい成功する」

みんなが賛成することに従えば、確かに認知コストはかからない。

しかし、誰もが同じことを始めるため、過当競争に陥り、順に脱落していく。

日本の家電メーカーの液晶テレビ事業はその典型だ。

一方、みんなが賛成することを疑うのは認知コストがかかるが、実現すれば、競争相手はいないから成功する。

鈴木氏の足跡はその繰り返しだった。

『鈴木敏文「逆転発想」の言葉95』PHPビジネス新書


今流行っている仕事、またはそのきざしがある事業に参入するのは比較的容易だ。

先行して成功している会社の業績を調べて、周りを説得すればいいからだ。

多くの大会社や官庁では、前例が重視される。

だから、成功している会社をまねることは、周りの賛成を得やすい。

しかし、前例のないことをやろうとすれば、ほとんどの人が反対する。

誰もリスクをとりたくないからだ。

みんなが行く道に進めば、その分野はたちまちにしてレッドオーシャンという過当競争の世界になってしまう。

恐がって誰もがやらない道は、競争がないブルーオーシャンの世界。

誰も行かない道を進むには、脳に汗をかくほど必死に考え、同時に、リスクに立ち向かうぼう大なエネルギーが必要だ。

「みんなと一緒」、「みんなと同じ」は、自分の頭で考えなくてもいい楽な道。

あえて人と違う道、ものまねをしない道、リスクをとる道を選びたい。



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