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2013.1.21

お母さんの心

石川洋師の心に響く言葉より…

“おっさん!何とか教えてな”

どうやらこのタクシーの運転手さん

私を坊さんと思っているらしい

聞けば、自分を産んで母は寝込み

父親は看病に疲れて死んでしまったという

“仕方なしに夜のタクシーに乗っているが

これじゃ嫁の来てもないわ”

“大変だね。けれど

あんたもお母さんの心わかってないね”

“おっかの心?考えたことないわ”

“そうだろうな

でもお母さん、あんたの帰るの

起きて待っているのでは

お母さんが守っていてくれるんだね”

それに気づけば

あなたの運命は変わるよ

“すまん、わかった”

声が涙でつまった

「泳ぎ出した川は

向こう岸まで

泳ぎつかなければならない

涙の川を

ほほえみの川に

するまで」

『石川洋 こころの杖ことば』ぱるす出版


目の見えない坊やを育てた

お母さんの話である

今日は坊やの誕生日

お母さんは仕事からの帰り道

魚屋さんから、ふんぱつして鯛を買ってきた

そのことを坊やに告げると

「お母さん鯛ってどんなお魚?」と聞かれ

「鯛は赤いお魚だよ」と答えた

「ふーん赤いってどんな色」

と聞かれ

坊やを悲しませることになったことを悔いた

でもお母さんは

小さな手を握ると胸の中に入れ

「赤って、お母さんのオッパイの色だよ」

と教えた

この子は生涯、赤い色の暖かさを

忘れることはないだろう

(以上、同書より)


仏教では、母が子に対するがごとく、どこまでも深く大きい慈愛の心を表わした仏像を、慈母観音または悲母観音という。

大慈大悲の観世音菩薩だ。

大慈大悲とは、大きな愛と慈(いつく)しみ、そして人の悲しみや痛さ、苦しみを感じとれること。

人の苦しみやつらさを感じとれる、慈愛の人でありたい。



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