2013.1.9 |
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あらゆるものを味方にせよ
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児玉清氏の心に響く言葉より…
僕は俳優の道に迷い込んで約10ヶ月が過ぎようとしていた。
正直なところ、続けるのか、やめてまともな企業に就職口を新たに探すのか、心の中で激しく葛藤のあったとき、僕の目の前に不思議な人物、A氏が現れた。
A氏は日本の敗戦を中国大陸で予知し、引き上げの後、出身地に近い出羽三山に篭り、約14年間にわたり修験者として修行を重ねた30代半ばの男性であった。
この未知の男性は、「俳優を続けなさい」と、質問した訳でもないのに仁王立ちの形で宜(のたも)うた。
そして、僕に忠告したのは、「勝負する」という言葉を生涯口にするな、ということだった。
人間は一生が勝負なのだから、あえて周囲の目を喚起するような愚は慎みなさい。
最後まで勝負は避けよ。
これは決して逃げることを意味しない。
死んだときに初めてチンとレジを鳴らして人生を締めるのだ。
賢明なる世の武将は最後まで一か八かの勝負は避ける。
熟慮に熟慮を重ね、勝てると確信の持てたときのみ勝負の場に出るのだ。
勝算の十分に持てない戦いに打って出て、たまさか幸運が味方して勝ちを拾ったとしても、それは名将といわれる武将のすることではない。
負けたら一巻の終わりである。
長く生きながらえてこそ賢明なる武将であり、レジスターを途中で鳴らしてはけないのだ。
そして彼が次に、今から実行せよと命じたのは、あらゆるものを味方にせよ、ということであった。
「験(げん)を担ぐと他人から馬鹿にされようが、笑われようが、そんなことは一切気にせずに、いいと思うことを何でもやれ。
神社仏閣に祈るもよし、自分の干支にちなんだものを集めるもよし、とにかく縁起担ぎを自分のために密かにしっかりとやりなさい。
あらゆる幸運を味方につけるために、森羅万象すべてに祈りなさい」
『人生とは勇気』集英社
「人生は思い通りにいかないもの、他人はあなたの都合通りに動いてはくれないもの、これが真実だ。
あなたに反論する人、あなたと違うやり方をする人、いくらやってもうまくいかないことは人生につきものだ。
この基本線に刃向かおうとすると、人生の大半を戦ってすごすことになる」
(リチャード・カールソン)
自分の都合よくいかないことに腹を立て、文句をいい、相手を変えようとするなら、敵はどんどん増え、毎日が修羅場と化してしまう。
その反対に、会う人会う人を味方につけるなら、これほど楽しく幸せな生き方はない。
敵を味方にできるなら、「勝負」はなくなる。
幸運な人は、自分にとって都合のよい迷信だけを信じる。
不運な人は、不安が増すような迷信を信じる。
人も物も、森羅万象あらゆるものを味方にし、幸運を引き寄せたい。 |
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