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2012.11.9

あえて人と違った道をゆく

植西聡氏の心に響く言葉より…

江戸時代の近江商人に、松居遊見(ゆうけん)という人物がいました。

一代で莫大な財産を築いた近江の大商人です。

当時、近江商人たちは全国を行商して歩きましたが、その多くは東海道をナワバリにして商売をしていました。

東海道にある宿場町は人口が多く、また裕福な人たちが住んでいましたから、商売をするにあたっての条件が良かったのです。

しかし、松居遊見は東海道へは行きませんでした。

彼は中仙道へ行商をしに行ったのです。

中仙道は山間地で、人口も少なく、住んでいるのは裕福ではない百姓ばかりです。

そんな悪い条件の地を自分から好き好んで行商しにいく松居遊見を、他の近江商人たちは「なんて愚かなんだろう」と笑いました。

しかし実際には、松居遊見は、東海道へ行商に行く商人たちよりもずっと多いお金を稼ぎ出すことに成功しました。

その理由は簡単です。

中仙道へ行商に行くのは松居遊見ぐらいでしたから、彼はそこで上がる利益をほとんど自分一人で独占することができたのです。

一方、東海道には、たくさんの商人たちが群がるように押し寄せていきます。

ですから、いくらそこには裕福な人がたくさん住んでいるといっても、ライバルたちとそれらのお客を取り合いますから、結局商人一人が得られる利益は減ってしまうのです。

松居遊見はそれを見抜いて、あえて悪い条件を選び取ったのです。

『「求めない」ほどうまくいく』RHブックスプラス

有名な相場の格言がある。

「人の行く裏に道あり花の山 いずれを行くも散らぬ間に行け」

俗説では、千利休の作とされている。

人のやらないこと、人と違う道を選択することが、成功の秘訣だという。

しかも、そのチャンスは限られているので、早くやることが肝要(かんよう)。

「群れずに、己(おの)が道をゆく」

人と違ったことを恐れない人でありたい。



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