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2012.11.1

1万時間の法則


マルコム・グラッドウェル氏の心に響く言葉より…

1990年代はじめ、心理学者のK・アンダース・エリクソンがある調査を行った。

ベルリン音楽アカデミーの二人の教授の助けを得て、アカデミーで学ぶバイオリニストを三つのグループに分けた。

まずスターのグループ=世界的なソリストになれる可能性をもつ学生。

二番目が“優れた”という評価にとどまるグループ。

そして、最後がプロになれそうもなく、公立学校の音楽教師を目指すグループ。

その上で全員に同じ質問をした。

「はじめてバイオリンを手にしたときから、これまで何時間、練習してきましたか?」

学生はだいたい同じ時期、5歳ごろから練習をはじめていた。

最初の2、3年はみんな同じくらいで、練習は週に2、3時間。

ところが8歳くらいになると、大きな違いが見られはじめる。

トップクラスの学生たちが、他の誰よりも多く練習に励むようになるのだ。

トップクラスの学生は9歳で週に6時間。12歳で週8時間。14歳で週16時間。

20歳のころには上手になりたい一心で、強い決意を持って、優に週30時間以上も練習をしていた。

事実、そのころには、トップクラスの学生の練習時間は、ひとりあたり1万時間に達していた。

“優れた”学生グループの場合は8000時間。

将来の音楽教師グループでは、4000時間を少し上まわる程度だった。

エリクソンたちは、プロとアマチュアのピアニストについても調べたところ、同じ傾向が見られた。

ここで注目すべきなのは、エリクソンが“生まれつきの天才”を見つけられなかったことだ。

仲間が黙々と練習に励む、その何分の一かの時間で、楽々とトップの座を楽しむような音楽家はいなかった。

その反対に、他の誰よりも練習するが、トップランクに入る力がないタイプである“ガリ勉屋”も見つからなかった。

頂点に立つ人物は他の人より少しか、ときどき熱心に取り組んできたのではない。

圧倒的にたくさんの努力を重ねている。

複雑な仕事をうまくこなすためには最低限の練習量が必要だという考えは、専門家の調査に繰り返し現われる。

それどころか専門家たちは、世界に通用する人間に共通する“魔法の数字(マジックナンバー)”があるという意見で一致している。

つまり1万時間である。

「調査から浮かびあがるのは、世界レベルの技術に達するにはどんな分野でも、1万時間の練習が必要だということだ。

作曲家、バスケットボール選手、小説家、アイススケート選手、コンサートピアニスト、チェスの名人、大犯罪者など、どの調査を見てもいつもこの数字が現われる」

『天才!成功する人々の法則』講談社


この法則は、世界的な神童や天才と言われる人にも通用するという。

つまり、「生まれながらの天才などいない」ということ。

そして、それは努力だけが全てを決める、という単純な話ではなく、努力にプラス、「トレーニングや勉強を続けることができる環境」や、「他者の協力を得ることが上手な性格」、などがなければいけないと言う。

世界に通用するには、1万時間の練習が必要。

「努力する人は希望を語り、怠ける人は不満を語る」(井上靖)

不平や不満を言わず、コツコツと努力を重ねる人でありたい。



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