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2012.10.22

独りを愉(たの)しむ


菅原圭氏の心に響く言葉より…

「友達がたくさんいない人間はダメだ」。

日本人はとくにそういう思いこみが強いのではないだろうか。

幼稚園でも小学校でも「友達をたくさんつくって、みんなで仲よく遊びましょう」と教えられる。

それはけっしてまちがいではない。

幼稚園や小学校は、それまで家族や近所などごくかぎられた人間関係のなかだけで過ごしてきた子どもが、幼稚園や学校生活を通して、社会と交わっていくことを学ぶ場でもあるからだ。

しかし、本来、友達は数を集めるものではなく、質を追及するものだ。

本当の友達と呼べるような人はそんなにいない。

作家の渡辺淳一さんは、インタビューで「親友は何人おられますか?」と聞かれると、「いません」と答えるのだそうだ。

若いときは2.3人、親友だと思っていた友もあったそうだが、年齢を重ねるにつれ、仕事が変わったり、住む世界が違ってきて、いつのまにか離れてしまったのだそうだ。

年をとると、ひとりがいちばん気が合うものだからね、ともいっておられる。

渡辺さんは文壇でも知られる華麗な人脈の持ち主であり、外ではたいてい編集者など多くの人に囲まれている。

だが、その渡辺さんにして、こうなのだ。

人は成熟するにつれて、ひとりで過ごす時間をそう寂しいとは思わなくなるものだ。

「未熟でもいい。やっぱり、ランチは仲間とおしゃべりしながら食べたい」というなら、自分が誘う側にまわればいいだけの話ではないか。

こまめに自分から声をかければ、いっしょに時間を過ごしてくれる人はきっと見つかる。

『ものごとに動じない人の習慣術』河出書房新社


真の成熟した大人は、「群れない」人だ。

群れない、とはいつも独(ひと)りでいる孤高の人、というわけではない。

大勢の人と一緒でも良し、時には独りでも良し、というこだわりのない心を持った人。

誰も自分を相手にしてくれないと嘆くのではなく、会いたくなったら自ら声を掛けて誰かと会うこともできる人。

そして、つるんで行動するのではなく、人と違う道を行くことを恐れない自立した人でもある。

成熟した大人は、独りでいることを愉(たの)しむことができる。

例えば、何時間でも、何日でも没頭できる仕事や趣味という、ワクワクするような自分独自の世界を持っている人。

「友達はその数ではなく、質を追及するもの」

時に、独りを愉しめる成熟した大人でありたい。



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