2012.10.1 |
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選ばれる会社と選ばれない会社
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藤村正宏氏の心に響く言葉より…
ユニクロやH&Mみたいなファスト・ファッションの流行や、家電量販店の乱立。
安売りが当たり前の世の中になってきています。
モノを「モノ」として売っている限り、価格競争になってしまうのは必然。
大激変の時代には、商品やサービスにフォーカスするマーケティングではなく、体験価値をしっかり伝える「エクスペリエンス・マーケティング」が有効になるのです。
体験というのは商品やサービスではなく、「コト」です。
さまざまなコトを発信していると、そこに関係性が生まれやすくなる。
関係性はモノだけでは生まれません。
だって、人は、同じものを買うのなら「関係性」の深い店から買うからです。
保険に入るとき、自動車を買うとき、税理士さんを頼むとき、美容院を選ぶとき、もしあなたの知り合いがそれらを売っていたら、見ず知らずの人より知り合いから買いますよね。
ごくごく簡単にいうと、これが「関係性」ということ。
モノが世の中に行き渡って、人口が減少傾向になると、モノは売れなくなります。
世の中にモノやサービス、お店があふれ、ライバルとの差別化も難しくなっています。
この流れは、加速することはあれ、元に戻ることは決してありません。
じゃ、もうモノは売れないのでしょうか。
そんなことありません。
この不景気だといわれているときに、繁盛している会社や店はたくさんあります。
安売りするのではなく、「体験」を売るチラシで情報を発信して、圧倒的に売上を上げているスーパー。
既存顧客を大切にして関係性を深めることで、売り込まなくても注文が殺到するケーキ屋さん。
衰退業態といわれる中、技術よりも「思い出」を売ることで、業績を伸ばし続けている写真館。
あなたのお客さまは、モノやサービスが欲しいわけではないということです。
そのモノを買うことによって、どういうステキな生活が手に入るのか、どういう体験が起こるのか、どういう嬉しいことがあるのか。
その商品の先にある、「体験」を発信しなければモノは売れない、ということなんです。
どんなに不況になっても、髪を切る人はいます。
不景気になっても家を建てる人はいるし、外食する人はいるのです。
今、世の中で起きていることは、選ばれる商品と選ばれない商品、選ばれる店と選ばれない店、選ばれる会社と選ばれない会社。
それが明確になっているということなんです。
『やっぱり!「モノ」を売るな!「体験」を売れ!』実業之日本社
映画の「男はつらいよ」の寅さんの、「体験」を売る話がある。
寅さんが、なんの変哲もない消しゴムつきの鉛筆を売るシーンだ。
「おばちゃん… オレはこの鉛筆を見るとな、おふくろのこと思い出してしょうがねえんだ。
不器用だったからねぇ、オレは。
鉛筆も満足に削れなかった…。
夜おふくろが削ってくれたんだ。
ちょどこの辺りに火鉢があってな。
その前にきち〜んとおふくろが座ってさ、白い手で『肥後守(ひごのかみ)』を持って、スイスイ、スイスイ削ってくれるんだ。
その削りかすが火鉢の中に入って、ぷ〜んといい匂いがしてなあ。
きれ〜に削ってくれたその鉛筆をオレは、落書きばっかりして、勉強ひとつもしなかった。
でもこれぐらい短くなるとな、その分だけ頭がよくなったような気がしたもんだ」
しみじみとした寅さんの話は続き、それを聞いていた家族みんなが鉛筆を欲しくなる。
(以上、本書より)
体験には、心が温かくなるようなストーリーや、どうしても欲しくなるような価値や、意味がある。
しかし、価格も、機能も、性能も、それはただ単に無機質な「モノ」でしかない。
「モノ」ではなく、「体験」を売って、選ばれる会社になりたい。 |
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