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2012.8.16

日本は堂々の金メダル

双日総合研究所副所長、吉崎達彦氏の心に響く言葉より…

先月、「リオ+20」会議で国連環境計画が発表した「包括富レポート2012」は、世界20カ国を対象に、それぞれが保有する富を「物的資産」(機械や建物やインフラなど)、「人的資産」(人々の教育水準や技術)、「天然資産」(土地、森林、天然資源など)に分けて計算したものだ。

この尺度でいくと、日本は米国に次いで世界第2位の資産国となる。
「年収」で中国に抜かれたとはいえ、「富」を比較すると日本は中国の2.8倍もある。

また、人口1人当たりの富は、日本が堂々の世界1位であった。

日本が保有する富の大部分は「人的資産」にカウントされている。
教育期間や平均賃金、働ける年数などに基づいて算出したものだ。
「わが国の資源は勤勉で教育水準の高い人材だけ」という、長年の自己認識通りの結果である。

また、調査された20カ国のうち、1990年から2008年までの間に「天然資源」が減少していないのは日本だけであった。

これまた「環境のきれいな先進国」であるという、わが国の密かな自慢を裏づけるデータといえよう。
事実、この期間中にわが国の森林面積は増えているのである。

また、失業率と消費者物価を足したミゼラブル指数という概念がある。

その名の通り「国民の悲惨度」を示す指標であり、米大統領選などの際に、「ミゼラブル指数が高いと現職の再選が難しい」ことが知られている。

直近のデータで試算してみると、日本の失業率は4.4%であり、消費者物価上昇率の0.2%と足し合わせた4.6%は、世界の主要国では最も低い水準である。

先進国はどこでも二桁が当たり前だし、ユーロ圏には失業率だけで10%以上という国が少なくない。
日本の「悲惨度指数」は健闘しているといえるのだ。

が、得てしてこういういい話は注目されない。
つくづく悲観論が好きな国民なのである。

おそらく世界の謙虚度調査というものがあれば、日本は金メダル確定ではないだろうか。

『産経新聞 正論』(2012年7月27日)より


失業率と消費者物価を足した、各国の2011年のミゼラブル指数を調べてみた。

イギリス 12.67
イタリア 12.02
フランス 11.97
ドイツ   8.25
中国   8.10
韓国   7.57
日本   4.6

ヨーロッパ諸国の失業率だけで言うなら、スペインは21.64%、ギリシャは17.31%。
ちなみに、失業率1位のマケドニアは31.23%、2位のボスニア・ヘルツェゴビナは27.60%。
日本のミゼラブル指数の、4.6%がいかに低いかわかる。

また、日本人の意識調査では、日本の緑が減ってしまったと感じている人は7割以上いるが、実際は、わずかだが日本の緑は増えているという。

日本は森林率が67%で、これはフインランドやスウェーデンのように、世界の中でもトップクラスの森林国だ。

日本人はなぜか、悲観論と自虐ネタが好きな国民だ。

自分の国に自信を持ちすぎ、他国をバカにしたり、責めたりするようなことはしてはいけないが、日本人は、もう少し自国に対して誇りを持った方がいい。

日本は、人的資産においても、ミゼラブル指数でも、堂々の世界一。
オリンピックの金メダルも立派だったが、日本も堂々の金メダルだ。



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