2012.8.8 |
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二者択一
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斎藤孝氏の心に響く言葉より…
漫画の『逆境ナイン』の中に「二者択一」というシーンがある。
主人公に初めて彼女ができる。
甲子園目指して、チームを率いてここ一番踏んばらなければいけないときなのだが、デートもしたい。
心が迷っている。
仲間から「プレゼントだ、好きなほうをとって、もう片方は捨ててくれ」と包みを渡される。
開けてみると、中には二枚の表札のような板が入っていた。
一枚には「野球」、もう一枚には「かけがいのない女」と書いてある。
煩悶(はんもん)した末、主人公は、「二者択一!!」と叫んで「野球」の板を取る。
泣きながら「かけがえのない女」の札を捨てる。
板という「もの」を自分の意思で選び取るという身体的動作によって、決断にリアルな切実さが伴う。
私たちは通常、意思決定をするときに、心のなかだけで考えている。
その実体が手にとって見えているわけではないので、「選び取った」ものと「捨てた」ものの本当の重さに気づきにくい。
たとえ小さな板切れであっても、自分が決心して選んで手に取った札だと思うことで、挫けない力が湧く。
ちょっとやそっとでへこたれるわけにはいかない。
このときのリアルな「二者択一」を一つの行動原理として、主人公とその仲間たちは二者択一が人生の格言のようになって、その後も決断の軸に「札を取る」行為をする。
「進む」のか、「逃げる」のか、札をつくって、冷静に考えて、自分の決断で札を選び取っていく。
『雑菌主義宣言!』文藝春秋
彼女を取るか、野球を取るかという選択そのものがいいかどうかは別にして、人生には二者択一で選ばなければいけないシーンは多くある。
その中の最も本質的な二者択一は、「現状維持」か「現状打破」かの姿勢だ。
つきつめていくと、人の行動基準は、この二つに集約される。
何事も、現状維持でいいと思っている人は、全ての言動が、「今のままでいい」、「現状を変えたくない」、という姿勢から発する。
たとえば、変革しようという意見に対して、なんの代案もないのに、ただ反論したり、理屈を言ったり、怒ったりする人は、現状維持の姿勢の人だ。
現状打破の姿勢の人は、「ちょっとでも現状をよくしたい」、「少しでも進歩したい」、「何かを変えたい」、という具体的な意見と、行動から出発する。
「現状維持」か「現状打破」か。
日頃、自分がどっちの立場で行動しているのか、確認してみる必要がある。 |
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