2012.7.17 |
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見放される前に見放す
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バルタザール・グラシアンの心に響く言葉より…
《見放される前に見放す》
自分が落ち目になるのを待っていてはいけない。
見放される前に見放すのが賢者のやり方である。
最後は勝利で飾るべきだ。
(グラシアンの言葉)
いつも良いポジションを確保できるとは限らない。
より多くの人間が関わり、より多くの思惑(おもわく)が働けば、ますます人間関係は複雑化し、
どれだけ根回しをしても思い通りの立場を射止めにくくなる。
ときには、貧乏くじが回ってきて、運気が下り坂になりそうなときもでてくるだろう。
それはあなたの能力の問題ではなく、単に運の問題だ。
自分で管理できない問題なので、運が落ちてきたときの対策を考えておいたほうがいい。
グラシアンの教えはこうだ。
「しばしば太陽は、沈みゆく姿を見られぬよう雲に隠れる。
もっとも輝いているときに身を隠すことさえある。
そうすれば、見ている人は太陽が沈んだのかどうかわからない」
もし、運が悪く災いが少しでも起こりそうなら、その場所からすぐに撤退しよう。
積極的に見放すべきだ。
落ち目になりそうなときは、とにかく厄介なことを避け、身を守ることを第一に考える。
そして、運気が上がるのを待つのだ。
「賢明な調教師は馬がレースで転んで笑いものになる前に引退させる。
また、美人は早めに鏡を割っておいたほうがいい」
とは、グラシアンの警句である。
『本当に役立つ「人生の知恵」ノート』イースト・プレス
バルタザール・グラシアンは、17世紀スペインの哲学者であり、イエズス会の修道士、そして著述家だ。
そして、ニーチェ、ショーペンハウアー、ヴォルテール、森鴎外など多くの偉人に影響を与えたという。
人生のあらゆる局面において、もっとも難しいのが出処進退だ。
年を取ってからだけでなく、若い頃でも、何かの役職についたら、それをいつまでも放さない人がいる。
そういう人は、みな異口同音に「あなたより他に人がいない」、「まわりから引きとめられている」
などと言われたことを真に受けている。
そして、だらだらと長く役職にしがみついて、疎(うと)んじられ、嫌われるまで気づかない。
これは、恋愛でも、友だちや、サークルやあらゆる会合の人間関係でも、同じことがいえる。
「見放される前に見放す」ことで、余裕ができ、自分を客観視することができる。
ときには、こだわりを捨て、手放すことも必要だ。 |
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