2012.6.25 |
|
未来から仮説を立てる
|
|
セブン・イレブン会長、鈴木敏文氏の心に響く言葉より…
新しい事業を起こす場合には二つのポイントがあります。
一つは、自分がやってきたことだけではなく、いろいろなものを見て、
常に世の中は変わっていくという仮説を立てるのです。
この先はどう変化していくのか、未来から仮説を立てていかないと、新しい事業は起こせないのです。
ところが、多くの場合、過去の経験から何かを導き出そうとします。
もちろん、過去の経験から導きだせるものもありますが、これだけ変化の激しい時代には、
なかなか難しいのです。
もう一つは、物事を徹底化することです。
ものごとを徹底していくには、全員がしっかりと同じ情報を共有することが不可欠です。
何か新しいアイディアがあっても、なぜそれが必要かということを全員が同じように
把握していなければ、徹底する力は生まれないでしょう。
ハウツーものの本を読むのではなく、自分で考えることの方が重要です。
なぜなら、ハウツーものの本というのは過去のことをまとめているのであって、
いま置かれている環境や客観情勢とは異なっている状態での成功体験ですからね。
小売業でいえば、日々変化するお客様の要望は、決してハウツーで得られるものではありません。
ところが、最近では、みんなが誰かの話を聞こうとか、過去はどうだったということばかりにこだわり、
自分で考えようとしていません。
歴史に学ぶということも大事ですが、これだけ激変する時代には過去の事例は参考になりません。
たとえば、いまデフレといわれています。
そうすると、昭和初期のデフレ時代の時はこうだったとかいわれるのですが、
これだけ時代が大きく変わっているのだから全然、関係ない、参考にならないよと言っているのです。
自分たちの問題は自分たちで解決するべきです。
他から出来合いの解答を求めて経営をしても、縮小均衡に陥るだけです。
結局、世の中がこれだけ激しく変化している時代に、
「この方法が正しい」と教えてくれるような教科書は存在しないということなんです。
『ビジネス革新の極意』(鈴木敏文&斎藤孝)マガジンハウス
変化の激しい現代では、いま流行っている商品なり、お店をマネしても、それはすぐに陳腐化してしまう。
例えば、「食べるラー油」が大流行した時があり、後から多くの企業が参入したが
半年も経たないうちに売れなくなってしまった。
安岡正篤師は、ものの見方には三つの原則があると言う。
一つ目は、目先にとらわれず、できるだけ長い目で見る。
二つ目は、一面だけ見ないで、なるべく多面的、できれば全面的に見る。
三つ目は、枝葉末節に走らないで、根本で見る。
過去にないものを創造しようとすれば、この三つの見方や考え方を身に付けるしかない。
一つ目の、短期的に考えるのと、長期的に考えるのでは、結論はまるで逆になることがある。
二つ目の、一面的にしか物を見られない人は、判断を誤る。
裏も表も見て、そして多角度からもう一度眺めてみることが必要だ。
三つ目の、表面的に見るのと、本質で見るのでは、答えが変わってくる。
深い見方か、浅い見方かにより、人間のレベルも推し量ることができる。
過去の延長線上で類推することは誰でもできる。
しかし、未来から仮説を立てるには、日頃のたゆまざる勉強と、小さな変化も見逃さない感性や、
気づきが必要となる。
大変化のこの時代、マネをするのではなく、仮説を立て、自ら考え、独自の道を歩いてゆきたい。 |
|
|