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2012.6.4

三波春夫さんの歌

永六輔氏の心に響く言葉より…

僕にとってお付き合いの深かった歌手は三波(みなみ)春夫さんです。
こんなエピソードがありました。

彼が年をとってからなんですけど、老人ホームによく出かけることがあったんです。
ボランティアで一緒によく行きました。

あるとき僕は三波さんに、奈良の老人ホームで、
三波さんのことをとっても大事に思っているおばあちゃんがいる。

ただ、そのおばあちゃんは自分の名前も思い出せない、自分がだれかもわからない、
でも、「三波春夫」というと、にっこり笑うおばあちゃんがいる、という話をしました。

そうしたら三波さんが、「行きましょう、そこへ行って歌いましょう」と言うのです。
そこで、老人ホームに行ったんですが、そこで、その園長さんが「永さん、ちょっと」と言うんです。

「あのおあばちゃんの件なんですけれど、本当に三波さんが大好きな人なんだけど、
一方でしょちゅう何かを歌っている」と言うんですよ。

「三波さんが歌ってらっしゃるのに、客席で歌っているのは、おかしいでしょ。
だから、もし三波さんがそれは困るとおっしゃるんだったら、そのおばあちゃんは会場に入れません。
でも、そんなこと気にしませんとおっしゃってくださるんだったら、入れることにしましょう」
と言われたんです。

すると三波さんは、
「じゃまになんかなりません。こういう施設に来る以上、
いろんな方がいることは覚悟で来ております。さあ、どうぞ」
と言うので、そのおばあちゃんが入れることになったんです。

さて、司会の僕が、
「さあ、お待たせしました。三波春夫さんです」
と言おうと思ったら、そのおばあちゃんがみんなの集まっているホールに入ってきたんですが、
もう歌っているんですよ、大きい声で。

「♪一列談判破裂して(数え歌)」と歌っているんです。

「弱ったな、三波さんに悪くないかな」と思いながら「三波春夫さんです」と紹介しました。

三波さんは出てきました。
出てきたら、何もしないですぐにそのおばあちゃんの隣に座って、
おばあちゃんが「♪一列談判破裂して」と歌い出すと、それと同じ歌を一緒に歌い出したんですね。

それから、そのあとおばあちゃんが次から次に歌うんです。
三波さんもまた変な人で、どんな歌が出てきても歌えるんですね。

「♪ひとつとせ」に始まって、昔聞いたあらゆる歌を歌うんです。
そしたらそれをみんなが歌いはじめた。

司会をしていた僕に、「このまま盛り上げていこう」「私の歌は要らないからこのままいこう」と
三波さんが言うので、本当にすばらしいコンサートになって、
三波さんは持ち歌を一曲も歌わないで一時間たちました。

その帰り道、三波さんが
「永さん、私たちは間違っていませんでしたか?
私が行って歌ってあげれば喜ぶと思っていたこの傲慢(ごうまん)さがとても恥ずかしい。
みんな歌を持っているじゃないですか。
みんな歌える歌があるじゃないですか。
みなさんが歌っている歌のなかに入ってみて勉強になりました。
われわれ歌手は傲慢です。
自分の歌を歌ってあげればいいと思ってきたことがとっても恥ずかしいです」

『上を向いて歩こう 年をとると面白い』さくら舎


「お客様は神様です」で有名な、三波春夫氏は浪曲師から歌い手になった異色の大歌手だ。

いつも笑顔を絶やさず、派手な着物姿でファンサービスに徹した三波は、歌う時には、
「神前で雑念を払って祈るときのように、客を神と見る」ということからこの言葉が出たそうだ。

中国の『伝習録(でんしゅうろく)』に、
「人生の大病は、只だ是れ一(いつ)の傲(ごう)の字なり」
とある。

傲慢やおごりは、我とわが身を滅ぼす大病だ。
どんなときでも、自らを振り返って謙虚になれる人でありたい。



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