2012.5.22 |
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与えられた条件の中で
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藤尾秀昭氏の心に響く言葉より…
■禅の研究と著述に96年の生涯を傾注された鈴木大拙(だいせつ)博士が、こういう言葉を残されている。
「人間は偉くならなくとも一個の正直な人間となって信用できるものになれば、それでけっこうだ。
真っ黒になって黙々として一日働き、時期が来れば“さよなら”で消えていく。
このような人を偉い人と自分はいいたい」
平明、しかし深遠な一つの幸福論である。
■「時処位(じしょい)の自己限定」という言葉がある。
人は誰でも一つの時代に一つの処で一つの位地・立場を得て生きている。
その時処位で他を願わず精一杯努力をすることである。
■与えられた条件の中で運命を呪(のろ)わず、不平不満を言わず、
いま自分にできる最善の努力をする…
運命を切りひらく鍵はそこにある。
■人間を襲い、蝕(むしば)む天敵。
それは心の中に巣くう不平不満である。
事あるごとに湧(わ)き起こってくる不平、不満、愚痴こそ、人間を滅ぼす天敵である。
■人間を損なう天敵の対極にあるもの、それが感謝である。
心が感謝の思いに満ちあふれた時、あらゆる不平不満は一気に消え去る。
感謝こそ人間という生命体を健やかに成長させる根幹である。
『小さな人生論 ポケット名言集』致知出版社
今の仕事や、今の地位、今の境遇は本当ではない、間違っている、と思っている人は多い。
本当の自分は他にあり、今は仮の姿なのだ、と運のなさを嘆く。
しかし、今がどんなに不本意であっても、それが現実であり、事実なのだ。
今を大事にせず、投げやりに生きるものに、夢や志を語る資格はない。
我々には、「いま」と「ここ」しかないのだから。
今の人生は、「過去のさまざまな場面で、自分が選んできた結果だ」と言う。
しかし、「選んだのではなく、与えられた」と考えることもできる。
この人生は「与えられた」のだ、と気づいたとき、人は、襟(えり)を正し、
謙虚になり、感謝の気持も生まれる。
「蒔(ま)かれた種は、蒔かれた場所で芽を出し、花をさかせる」
黙々と淡々と、自分の今の仕事や勉学に最善を尽くす。
感謝の心で、日々を過ごしたい。 |
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