2012.5.1 |
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足拭きマットの話
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マイクロソフト元社長の成毛眞氏の心に響く言葉より…
「すぐれた君主ほど、けちだ」(君主論)
金持ちはけち、というのは定説になっている。
ビル・ゲイツがけちだというのは有名な話だが、もちろん、彼がそんなことを気にかける様子はまったくない。
以前、ビル・ゲイツが来日して東京のオフィスに来たときに、開口一番、
「オフィスの入口の足拭きマットは必要か?」と言った。
挨拶を交わし、互いに近況報告をし合うという雑談を抜かして、いきなり足拭きマットの話である。
私はなんのことかと、ポカンとしてしまった。
当時、日本マイクロソフトのオフィスは渋谷区笹塚のビルにあり、
そのときは7階から18階までを借りてオフィスとして使っていた。
彼は、エレベーターで7階まで上がってきたとき、
1階にあった足拭きマットが受付にもあることに気づいたのである。
敷いてあったのは、ごく普通のオフィスで使うレンタルのマットだった。
「1階のマットで靴の泥は取れるんだから、このマットは必要じゃないか。
いったいこのマットに経費はいくらかかっているんだ?」
そこで、総務部が急いで調べて、
「月間3千円弱です」
「すぐやめなさい」
というやり取りがあり、即中止となった。
年間売上が2兆円といわれていた時期なのに、3千円をカットするのに躍起(やっき)となる。
この話から、「金持ちはやっぱりケチだな」と結論づける人もいるかもしれないが、
経営とはそういうものなのである。
企業の経営で利益を追求するには、ムダを省いて節約するのは基本中の基本だ。
経営者にとっては、3千円だろうが3千万円だろうが同じことである。
ビル・ゲイツに関してはその他にも、アメリカでは割引クーポンを持ってマクドナルドへ行っている、
飛行機はエコノミークラスにしか乗らないなど、いろいろな噂があった。
多くの破滅型の成金は、稼いだカネを湯水のように使ってしまう。
カネは無限にあるわけではないのだから、感覚が麻痺するのがいちばん怖い。
『成毛眞の超訳・君主論』メディアファクトリー新書
お金もちほどケチだとは、よく言われる話だ。
小金持ちほど、ムダにお金を使ってしまう。
しかし、本当の吝嗇家(りんしょくか)は別にして、たいていの金持ちはケチなのではなく、
合理的なお金の使い方をするというだけなのだ。
合理的な人は、効率的で、ムダなことを嫌う。
特に事業においては、一銭のムダも許さない。
億万長者で有名なビル・ゲイツ氏にしても、投資家として有名なウォーレン・バフェット氏にしても、
資産の大半を寄付すると表明している。
たんなるケチではないのだ。
影響力のある人は、普段の一挙手一投足が見られている。
日頃の些細な言動や行動が、人生に大きな影響を及ぼすことを、肝に銘じなければならない。 |
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