2012.4.22 |
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社会起業家とは
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「社会起業家になりたいと思ったら読む本」の中から、心に響く言葉より…
最近の社会起業家とかつての活動家のあいだには、ひとつ根本的な違いがあります。
歴史上の活動家は、権力を持たないアウトサイダーとして取り組みをつづけました。
いわば、豪邸の門前に押し寄せる招かれざる客のようなものでした。
他方、社会起業家は、変革を実現するために外側と内側からの両面作戦を展開します。
たとえば近年では、環境問題に挑む社会起業家はウォルマート、ゼネラル・エレクトリック(GE)
などの企業やアメリカ陸軍などとじかに手を組み、環境にやさしい習慣の啓蒙に努めています。
活動家は企業に対して外側から変革の必要性を説きますが、
社会起業家は組織内部に働きかけて何をすべきかを示してきました。
チェンジメーカーを志す人々はたいてい、変革の建設的な側面を見落としてしまいます。
教育の分野では、たしかに、教育政策を改めるには政治動員が欠かせません。
ですが、昨今では、優れた教員に目星をつけて、長く働いて能力をいっそう伸ばしてもらうために、
何か方法を見出さなくてはなりません。
しかも、教員の仕事に向かない人材であれば、できるだけ早くべつの道に進ませることも必要になります。
そのためには、政治力だけはなく実績ある解決策が求められます。
いまでは、怒りの声をあげることよりも問題の解決に関心を向ける社会運動が起きています。
『ニューヨーク・タイムズ』のコラムニスト、ニコラス・Dクリストフはこう書いています。
「学生運動はいつの時代にもあった。
わたしのころにはたいては抗議が中心だったが、驚いたことに、最近では、
何か前向きな活動をするために組織を立ち上げる例もあるようだ。
これはいわば社会起業革命だろう。
わたしはこの動きに畏敬の念を抱いている」
『社会起業家になりたいと思ったら読む本』(井上英之監修)ダイヤモンド社
昨今、「社会起業家」という言葉が多くのところに登場しているが、まだ一般の人にはなじみが薄い。
社会起業家とは、社会で起こるさまざまな課題、例えば、環境や、貧困や、格差や、教育等々
様々な分野において、それを事業によって解決しようとする人のことを言う。
すなわち、儲けながら(経営しながら)社会の問題を解決する組織を運営する人。
多くは、NPO(Nonprofit Organization)“非営利団体”として活動しているが、
社会貢献をしつつ株式会社という形態をとるところもある。
「資本主義は行き詰まった」、という主張が現実味を帯びてきている。
それは、例えば、マネーという怪物が行き場を失い、あらゆる市場でギャンブル化していることでもある。
株や債権市場だけでなく、石油も、穀物も、鉱物も、現実の需給と関係なく、勝手に乱高下する。
多くの先進国では、財政の赤字幅が拡大している。
老齢化が進み、社会保障費も増大の一方なのに、遅遅として進まない改革。
民主主義という制度も大きな曲がり角を迎えたと言ってもいいのかもしれない。
激動の変革期にあるこの時代、ここを乗り切り、
突破できる大きな可能性があるのが、この「社会起業家」だ。
今まさに、社会起業家のことをもっと真剣に勉強する時が来た。 |
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