2012.4.1 |
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人生の面白さ
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D・カーネギーの心に響く言葉より…
ロンドン郊外で、バーティ・ウエルズという小さな男の子を年上の子供が抱き上げて放り上げたが、
落ちてくるのを受け損なって、バーティは片足を折ってしまった。
何ヶ月というもの、バーティは足に重しをつけられてベッドで苦しんだが、結局うまく接合しない。
また手術をやり直した。
まったくひどい目に遭ったわけだが、後になってみるとそれが実は幸運だった。
それがきっかけで少年バーティが世界的文豪にのし上がるからだ。
H・Gウエルズその人である。
著作は先駆的なSF小説「タイム・マシン」を始めとして、およそ80数巻。
本人も、「あの時足を折ったのがもっけの幸いだった」と言っている。
怪我したおかげでまる一年は外へ出られず、ほかにすることがないから手当たり次第に本ばかり読んだ。
その結果、文学が好きになり、大きな刺激を受けた。
平凡な環境を脱出して向上しようと決心した。
片足を折ったのが、まさに生涯の転機となったのである。
13歳になると服地屋の店員として働きだした。
1日14時間働いたが、1ヶ月すると首になった。
だらしがなくて、いいかげんで、手に負えない奴だ、という理由である。
そこで今度は薬屋の店員になったが、これもまた1ヵ月で首にされた。
そんな時、昔教わった学校の先生へ長い長い、世にも哀れな手紙を出した。
「ぼくはもう絶望です。
とてもやり切れません、生きている気力もなくなりました…」
びっくりしたことにその先生から返事がきた。
「教師の口があるからやってみないか」
これがまた生涯第二の転機となる。
教員になって2.3年すると、またもや不意の災難に遭う。
ある日、フットボールに熱中している時、突き飛ばされて踏んづけられ、危なく命を落とす目に遭った。
出血多量で、医者にも見放された。
今死ぬか、今死ぬかという状態が何ヶ月も続いて、どうにか命は取り留めたものの、
それから12年というもの、半病人の有様で命にしがみつくことになる。
その後、H・Gウエルズは死なずに健康を取り戻した。
人間ダイナモそっくりの精力家になった。
毎年2冊は分厚い本を書いた。
それがみな全世界に反響を呼ぶ名著である。
骨折の1年、瀕死の重傷の12年、不慮の災難のおかげで自分の才能を“熟成”させた男、H・Gウエルズ。
「回り道を“むだ”だと思ったら人生の面白さはわからない」(H・Gウエルズ)
『D・カーネギーの自分を磨く本』知的生き方文庫
「幸運は不運の姿をしてやってくる」と言われる。
その時は、不運だと思ったことが、実は後になって考えてみると幸運の前触れだった、ということは多い。
しかし、そのツイていないときに大事なことは、その不運を嘆かないことである。
不運を嘆いたり、愚痴を言ったりしたとたん、後からやってくる「幸運」は逃げてしまう。
目標に向かって一直線の人生を送れる人など、この世に一人もいない。
山あり谷あり、が人生だ。
回り道にこそ、人生の面白さがある。 |
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