2012.3.11 |
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太陽のおかげ
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梅原猛氏の心に響く言葉より…
太陽光発電は、たんなるエネルギーの話ではなく、
その背後に「もう一度、太陽の恩恵に帰れ」という思想が必然的に含まれます。
そこが大事なのです。
それに引き替え、核融合は、「太陽を自らつくる」という考え方です。
これは「太陽の恩恵を受ける」という考え方とは、根本的に違う気がします。
太陽というのはほんとうにすばらしいもので、農業文明が発達したのも、まったくもって太陽のおかげです。
ここでもう一度、「太陽のおかげである」という発想に立ち返り、
そのような考えと技術論をタイアップさせた哲学をつくらなければならない。
ギリシャ悲劇というのは、人間が傲慢ゆえに滅びていく姿を描いたものです。
『平家物語』もやはり、そういう思想で書かれています。
結局のところ、古今東西を問わず、人間を滅ぼすのは傲慢なのです。
これはたいへん悲しいことです。
『近代文明はなぜ限界なのか』PHP文庫
昨年、山岸凉子氏のマンガ「パエトーン」(潮出版)が、
驚くほど原発事故を示唆しているということで有名になった。
パエトーンの物語とは…
太陽神であるアポロンの息子として生まれたパエトーンは、半分は人間であった。
しかし、友人に父がアポロンだと言ったところ、大ホラ吹きとバカにされ、それを証明するべく天上界にのぼった。
そして、父アポロンに願ったことは、大地に光を与えるという「太陽の馬車」を1日借りて御(ぎょ)することだった。
しかし、その太陽の馬車は、アポロンでさえ御するのが難しいとされ、
何度も諌(いさ)めたが、聞き入れないパエトーンに、アポロンはついに折れてしまった。
そして、炎を吐く黄金の4頭の馬車に、意気揚々として乗ったパエトーン。
しかし、神々でさえ御すことが難しい馬車を、驕(おご)った人間が扱えるはずもなかった。
たちまち、馬車は軌道をはずれて暴走し、結局、地上に近づきすぎて、森も、山も、住民たちも、
すべてを焼き払い、あたり一面は火の海と化した。
パエトーンはなす術(すべ)もなく、ただ震え、すくんでいるだけだった。
それを見た、アポロンは、このままでは万物が滅びてしまうと、
パエトーンめがけて稲妻(いなずま)を投げつけ、馬車もろとも粉々にしてしまった。
これは、神になり代われると思い上がった若者の愚かな物語だ。
洋の東西を問わず、人間を滅ぼすのは傲慢。
太陽の恵みに感謝し、今一度、原発の問題を考えてみたい。 |
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