2012.3.5 |
|
人にかわいがってもらうには
|
|
料理の鉄人、道場六三郎氏の心に響く言葉より…
「手に職をつけたほうがいい」と言われ、19歳の時に東京に行きました。
家を出ていく時、母は
「六ちゃん、人にかわいがってもらえや」と言いました。
親として、一番悲しいのはいじめに遭ったり、人から嫌われたりすることだったんでしょう。
一方、親父は
「石の上にも三年だ。
行ったからには石に齧(かじ)りついてでも我慢しろ。
決して音を上げるな」
と。
また、両親は浄土真宗の信者でもあり、幼い頃からこんな話をよく聞かせてくれました。
「おまえは自分の境涯(きょうがい)を喜ばなければならない。
この世に生まれてきて、目の見えない子や耳の聞こえない子もいる中で、
おまえには鼻はついている、耳はついている、五体満足に全部揃(そろ)っている。
それを喜ばすに何を喜ぶんだ」。
「辛いこと、苦しいことがあっても嘆いてはいけない。
逆境に遭ったら、それは神が与えた試練だと思って受け止めなさい」
「たとえ逆境の中にいても喜びはある」。
そういう言葉の一つひとつが、僕の人生において非常に支えになりましたね。
料理の世界に入っても幸いなことに、先輩やオヤジさん(親方)から非常にかわいがってもらえて、
別段辛いことってなかったですね。
僕は調理場でもなんでも、いつもピカピカにしておくのが好きなんです。
例えば鍋が煮こぼれしてガスコンロに汚れがつく。
時間が経つと落とすのが大変だから、その日のうちに綺麗にしてしまう。
そういうことを朝の3時、4時頃までかかっても必ずやりました。
それで、オヤジさんが来た時に
「お、綺麗やなぁ」と言ってもらえる。
その一言が聞きたくて、もうピカピカにしましたよ。
だからかわいがってもらえたんですね。
仕事場の人間関係でも一番大事なのは人に好かれることで、もっと言えば
「使われやすい人間になれ」
ということでしょうね。
あれをやれ、これをやれと上の人が言いやすい人間になれば、様々な仕事を経験でき、
使われながら引き立ててもらうこともできるんです。
《人生の要諦は心術にあり》道場六三郎&坂井宏行氏の対談
『月刊致知 2012年4月号』“順逆をこえる”致知出版社
「与えたものしかかえってこない」という原理がある。
例えば、挨拶にしても、こちらから挨拶しなければ、普通の人は挨拶してくれない。
もし、人様にかわいがってもらいたかったら、先に、自分がその人の喜ぶことをすることだ。
それを、「可愛(かわい)げ」のある人という。
可愛げのある人は、上司や先輩から見て、「使いやすい人」、「言いやすい人」、「素直な人」、である。
それは、上司や先輩の、気持がわかる人であり、喜ばすことができる人でもある。
人からかわいがってもらえる人は、いつか誰かが引き立てくれる。 |
|
|