2012.1.11 |
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見られることの効用 |
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内藤誼人氏の心に響く言葉より…
日本の大手総合商社では、モーレツに夜中まで働く商社マンに「癒し」を与え、
やる気を引き出すために、ルックスの良い女子社員を採用するという。
そのほうが商社マンたちは、張り切って仕事をするからだ。
私たちは、周囲にきれいな人がいれば、“いい格好”をするために努力するのである。
どんなにだらしがない男性でも、きれいな女性が自分を見ていると思えば、
仕事の手を抜けるわけがないのだ。
一人でジョギングしているときにはあまり本気で走ることができないが、ジムで、
きれいな女性がたくさんいると、全力で何キロも走ってしまうことがある。
これもやはり、「見られる」ことの効用であろう。
相手が異性にかぎらず、同性の場合にでも、「見られる自分」を意識すれば、手が抜けなくなる。
商売の秘訣は、「お客の目」を意識することだといわれる。
お客がどんな風に感じるのかを考えれば、商品の陳列にもこだわるようになるし、
店舗にゴミが落ちているのも気になるようになる。
私たちは、他人の目を意識するようにすると、自然と身が引き締まるのである。
アムステルダム大学のU・C・クレイ博士が、138名の大学生に対して、「ある商品に関する情報を、
インターネットを使ってたくさん集める」ということを課す実験をしたことがある。
なお、この実験に先立って、「あなたの作業は監視されていますから」と告げておいたグループでは、
何も教えられていないグループに比べて、熱心に作業することが判明した。
自分の行動が監視されていると言われたグループでは、モチベーションが上がって、
クリック数やインターネットへの接続時間がすべて、
監視されていると言われなかったグループを上回ったのである。
見られていると思えば、手が抜けなくなったのだ。
実際に見られているかどうかということではなく、「見られている」と思えば、
自律的な行動ができるようになるからである。
『継続は、だれも裏切らない』PHP
経営の場では、「見える化」ということがよく言われる。
開発や仕事の進行状況や、問題点、担当者、等の情報を誰にでも見えるようすることにより、
問題の所在を明確にし、解決や改革を早める手法だ。
インターネットの発達により、全てのことはますますオープンになり、いやおうなしに「見える化」は進む。
人から見られている、と思えばヘタなことはできない。
それは、たとえば…
ダイエットを宣言し、ネット上で体重を毎日公表し、見事減量に成功した人もいる。
また、読書することを自らに課すため、毎日ブログで書評を書き続ける人もいる。
これらは、「見られている」ことを逆手に取り、自分を強制的に律している。
時に、己を見えるところに曝(さら)し、自らを駆り立てることも必要だ。 |
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