2011.12.27 |
|
ホスピタルクラウン |
|
道化師・クラウンK、大棟耕介氏の心に響く言葉より…
ぼくはホスピタルクラウンとして、小児病棟を訪問して病気と闘う子どもたちを元気づける仕事もしています。
誰もが幸せな気持になり、思いやりを持ってコミュニケーションをとっていけるようになることも、
おもてなしに含まれる。
そう理解しているので、パフォーマンスは心と身体の治癒力、
回復力を促すために大いに役立っていると自負しています。
何年か、病院を訪れる中で気づいたことがあります。
僕の手品や風船のパフォーマンス、いたずらを天真爛漫に笑ったり、
「そんなのダメだよ」とストレートに感情を出して怒る子どもがいるかと思えば、一方では表情を硬くし、
母親や看護師さんの顔色を伺いながら、大人びた対応をしようとする子どもがいるのです。
子どもは自分を取り巻いている環境をとても敏感に感じ取る部分と、
その逆に鈍感な部分を持ち合わせています。
短期療養の子どもと、長期療養のこどもは違います。
長期療養の子どもは、母親が笑ったり、泣いたり、悲しんでいる心の変化にとても敏感。
「退院」という希望の出口をなかなか見つけられないことに苦悩し、
家と病院を往復する毎日で疲れ果てている母親。
絶望という感情があふれださないように、感情を無理やり抑え込む母親を傍で見ている子どもは、
「僕の病気は重病なの?一生、治らない?」
「私はママに迷惑をかけてるの?いい子にしなきゃいけないの?」
「私、あの注射をする先生が大嫌いって言っちゃいけない?」
本音を言葉にすることもできず、自分の隣にいる悲しそうな目の母親を見て、
どんどん自分の感情を押し殺し、おとなしくいい子に変わっていきます。
ホスピタルクラウンとして活動を始めた当初は、子どもたちしか見えていませんでした。
子どもたちのためだけに、一生懸命パフォーマンスするのが仕事だと思っていたのです。
しかし、ふと気がつくと、子どもたちの隣で「ふふふ」と声を出して笑う母親を見て、子どもがつられて笑う!
このことに気づいてから、
僕は子どもではなくお母さんに対してパフォーマンスをする方法に変えていったのです。
この時点では、もう子どものことは後回し。
徹底的に母親にギャグを言ったり、いたずらをして楽しませることに徹します。
すると、じわじわと僕とお母さんたちの呼吸が合ってくるのを感じるのでした。
そして、見ると隣で子どもが笑っている。
お母さんの笑い声は病室の空気を変えるのです。
『道化師(クラウン)流 サービスの力』こう書房
会社の中を明るい笑い声で満たそうと思っていても、
社長や上司が社員の「笑い声」や「ジョーク」に対していい感情を持っていなかったら、そのことは浸透しない。
社長や上司の心の底に、「笑い声をたてること」、「少しくだけること」は、
「会社の中ではふさわしくない、もっと真面目にやるべきだ」、という思いがあるからだ。
だから、そういう会社では、まずトップという権威者が、会社の中で、大笑いをしたり、
ジョークを言って社員を笑わせることが必要となる。
子どもは、親の顔色をみて育つ。
社員も、上司や社長の顔色を見て仕事をしている。
子どもが笑顔でいて欲しいと思ったら、親がいつも笑顔でいたほうがいい。
そして、病院中が笑いに包まれたかったら、医者も看護師も、
「ここは笑ってもいい場所なんだよ」と常に患者に伝えていかなければならない。
「お母さんの笑い声は病室の空気を変える」
どんなに厳しい状況であっても、ちょっとふざけたり、笑わせたり、自ら道化師を演じられる人は魅力的だ。 |
|
|