2011.11.18 |
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残るのは責任 |
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土光敏夫氏の心に響く言葉より…
幹部がえらい人であるゆえんは、一にかかって、上に立つほどより大きく重い責任を負う人であるからだ。
幹部は権限もあるが、これは振り回さないほうがよい。
できるだけ委譲するほうがよい。
そうすると残るのは、責任ばかりだ。
私はだれかを重役に推薦するとき、あらかじめ本人をよんで、
家庭を犠牲にするくらいの覚悟があるかどうか奥さんとよく相談してほしいと、
1〜2週間の猶予を与えることにしている。
だから経営者や幹部は、ほんとうはつらい人なのである。
割りに合わない商売なのだ。
しかしそれくらいでなくては、これからの企業体をあずかる資格はないと思う。
社長は事業部長に権限を与え、事業部長もまた下の者に与える。
すると、社長や事業部長のポケットに何も残らないかといったら、そうではない。
責任は全部残る。
権限は与えても、責任は100%残っているのだというのが、ボクの主義だ。
だから、絶えず注意していなければダメで、権限を委譲された者は、必ずレポートをすることが責任だ。
決して一方通行ではならない。
例えば、廊下などで会ったときに、「あれはどうなったか」と聞いた場合、すぐに返答が出来ないようではダメだ。
『清貧と復興 土光敏夫100の言葉』文藝春秋
経営者に限らず、政治家も、官僚も、教師も、リーダーの立場にある人が、尊敬されなくなって久しい。
かつての日本のリーダーたちの多くは、尊敬の念をもって迎えられた。
リーダーが責任を取らなくなったとき、尊敬は軽蔑(けいべつ)に変わる。
部下に権限委譲をし、その責はリーダーが負うからこそ、人は敬愛し、心服する。
と同時に、権限委譲された部下は、必ず報告が必要で、権限委譲と報告はセットになっている。
責任を取らない人は、人やまわりのせいにし、いい訳ばかり多い人だ。
「部下に権限を与えても、最後の責任は常に自分がとる」、そんなリーダーでありたい。 |
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