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2011.11.14

息子のつなぎ姿

三枝理枝子さんの心に響く言葉より…

八丈島からの便で、搭乗したのは、YS11というプロペラ機でした。

その日は天候が悪く、機体もかなり揺れました。
思い返すとなんでこんな時に、と思うのですが、私は首にしていたペンダントを外し、汗を拭き取り始めました。
そのとたん、機体が大きく揺れ、手に握りしめていたペンダントを座席の間に落としてしまいました。
すぐに探したのですが、見当たりません。

その姿に気づいて、CAさんが「何かお探しですか?」と声をかけてくれました。
「実はペンダントが落ちてしまって…」
特徴を説明すると、隣の席の年配の方も、後ろの座席のダイビング帰りらしき真っ黒に日焼けした
若者たちも、下を向いて探し始めてくださいました。
しかし、まったく見つかりません。
たった今、それも機内で落としたのですから、なくなるはずないのに…。

焦る私に、CAさんが、
「ご心配だと思いますが、到着してから必ずお探しいたしますのでご安心ください」
と力強い言葉をかけてくださいました。
ずっと探し続けてくださった周りの方にもお礼を言って、不安ながらも羽田到着を待つことにしました。

着陸後、全乗客が降りるなり、連絡をしてくださっていたのでしょう。
整備士の方々が乗り込んで来ました。
再度、どんな風になくしてしまったかを説明すると、座席近くを丹念に探してくださいました。
ところが、やはり出てきません。

「動かすしかないな」

リーダーと思われる人のそのひと声で、座席の分解が始まりました。
座席を外すことがどんなに大変なことか、十分理解していました。
それでも、私には、「もう、いいです」のひと言が、どうしても言えませんでした。

ネジを外し終え、座席シートを外したとたん、ペンダントが見つかりました。
「どうしてこんなところに」と思うくらい狭い座席と座席の間でした。

「ありがとうごあいます。ご迷惑をおかけしました」
そう言いたかったのですが、受け取ったとたん、涙がぼろぼろ溢れ出てきてしまい、言葉になりません。

「実は昨年の春、息子が八丈島に旅行中、友達の運転する車の助手席に乗っていて、
交通事故に遭って死んでしまったのです。
就職も決まった、卒業旅行でのことでした。
一年経ちましたが、息子の死が受け入れられないままでいます。

このペンダントは、息子の形見で、だからどうしても探し出したくて…。
皆さんには大変ご迷惑をおかけしてしまいましたが、もしかしたら、
息子が私に何か伝えたくて、こんなことをしたのかもしれません。
皆さんが作業をされている姿を見ているうちに、なんだかそんな気がしました。

息子は私と同じように技術職でした。
車の会社ですが、あのまま生きていたら、きっと、皆さんのようにつなぎを着て活躍していたことでしょう。
私が息子のつなぎ姿を見るのを、とても楽しみにしていたのに気づいて、皆さんのつなぎ姿を
みせようと、今日、引き合わせてくれたのかもしれません」

「そうでしたか」
いつの間にか、整備士さんとCAさんだけでなく、機長さん、副操縦士さんまでが私の傍に来て、
心配そうに取り囲んでくれていました。
CAさんの何人かは涙くんでいます。

「元気になってください。息子さんもそう願っているはずです」
同年代であろう機長さんが声をかけてくださいました。

「また、ぜひご搭乗ください。
一生懸命整備して、お待ちしていますから」
目を見て力強く言ってくれた先ほどの若い整備士さんに息子の顔が重なって…。

『空の上で本当にあった心温まる物語 2』あさ出版


「無上意(むじょうい)」という言葉がある。
これ以上ない行動や、行為のことだ。
人は、無上意のサービスを受けたとき、うれしさを通りこし、感極まって涙さえ流れることがある。

無上意のサービスは、損得や利害を超えた行為。
理由も聞かず、ただ人のために、ただ人の喜ぶ姿をみたいから、という無償の行為は人の心を打つ。

どんなときにも、人の痛みがわかり、人の喜びのために尽くせる、無上意の人を目指したい。



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