2011.11.8 |
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それでも僕は好きなんだ |
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内藤誼人氏の心に響く言葉より…
アメリカの南北戦争時の指導者に、ロバート・E・リー将軍という人物がいた。
ある日のこと、リー将軍は、ある人のことをどう思うかと尋ねられたことがある。
それに対して、「とても立派な人だと思いますよ」と将軍は静かに答えた。
ところがその人は、「でも本人は、あなたの悪口を言っていますよ。それをどう思いますか?」
と重ねて質問してきたのである。
このときのリー将軍の答えは、絶妙なものであった。
「あなたの質問は、相手が私をどう思っているかではなく、
私が彼をどう思っているかだったではありませんか?」
と答えたのである。
相手の誘いに乗らず、他の人について悪いことを言わなかったのだ。
他人についての評価を求められたとき、ついうっかりと「あいつは最低だ」とか、
「あいつは生意気だ」などと軽々しく口にしてはならない。
壁に耳ありとはよく言ったもので、あなたが悪口を言っていたことは、
ちゃんと本人にも届けられてしまうからである。
しかも、悪い方向に歪曲されて伝えられるのだから、たまったものではない。
「う〜ん、悪い人じゃないんだけどね」といったあいまいな返事をしておくと、
必ず悪意のある歪曲を受けてしまう。
きちんと「悪い人じゃない」と否定しているのに、
「悪い人だと思う」「彼は悪人だ」などと人づてに話が大きくなってしまって、
本人に届けられるときには、「殺してやりたいほど憎たらしい」というレベルにまで発展してしまう
ことが、少なくないのである。
かりに相手が悪口を期待していても、まんまそれに乗っからないということを信条にしておくと、
人間関係での軋轢(あつれき)はずいぶん減らせるものだ。
世の中には、あなたと友だちの仲を引き裂くようなことをしてくる人もいるが、
「それでも、僕はあの人が好きなんだ」と静かに答えておいたほうがいいことも覚えておこう。
『他人を動かす質問』大和書房
世の中には、悪口を引き出そうと、巧みに引っ掛ける、悪意を持った連中がいる。
仮に悪意はなく、無邪気な質問だとしても、結果としてそれは、
その人の人間性を貶(おとし)める発言となってしまう。
質問者の心の底に、僻(ひがみ)みや、妬(ねた)み、恨(うらみ)といった、
邪(よこし)ま考えが少しでもあるからだ。
それが、「悪魔のささやき」。
天真爛漫(らんまん)で、太陽のように明るくて、満ち足りている人は、意地悪い質問などはしない。
「邪は邪を呼び、誠は誠を呼ぶ」
たとえ、「彼が悪口を言っているよ」と言われようと、「それでも僕は好きなんだ」といえる人でありたい。 |
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