2011.11.6 |
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ただ聞いて欲しいだけなのに |
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ハリウッドの映画プロデューサー、マックス桐島氏の心に響く言葉より…
おしどり夫婦として知られていた、僕の友人のある中年映画スターの話。
ある晩、「今日、また例の株のブローカーが電話してきて、これは絶対儲かるってうるさいったらないのよ」
と文句を言い出した妻に、彼はいつもの調子でこう答えた。
「まともに取り合うからダメなんだよ。
セールス電話はお断りとか、番号を確かめてから受話器を取るとか、方法はいろいろあるだろう」と。
すると、妻の形相が変わり、怒りの矛先はブローカーから夫へ、夫婦の間で大論争になってしまったそうだ。
数ヵ月後、出演してもらった映画の打ち上げパーティーで隣り合わせたその妻は、
「彼はいつも解決法だけ助言するので、会話が不完全燃焼。
男ってみんなそうなのかしら?
私はただ、いかに大変だったかを聞いて欲しいだけなのに…」
と、僕にボソっと呟いた。
なるほど、女性は解決法を探しているのではなく、胸のつかえを吐き出したいだけなのだと悟った
僕は、その会話の内容を彼に伝えてあげた。
以後、彼は妻が文句を言い出した時、こう答えるようになったそうだ。
「そうか、僕の留守中いろいろ大変なんだね、君も…」
解決法という「出口」を案内しなくても、相談に乗ってあげるだけで妻はスッキリ。
家庭円満と相成った。
「訊(き)かれもしないアドバイス」、「求められていない助言」は要注意だ。
『ハリウッドに「中年」という概念がないその理由』日文新書
訊かれもしないのにアドバイスしたり、お説教や自慢を始める人は多い。
人は、自分のことを話したくてウズウズしているからだ。
同様に、苦しかったことや、辛かったことなど、ただ話を聞いてもらいたいだけなのに、
そっけない応対だったり、冷たい返答だったりすると、悲しみを通り越して、怒りさえ湧いてくることがある。
なぜ、私のこの気持をわかってくれないのか、と。
相手が妻であろうと、後輩であろうと、アドバイスを求められない限り、助言や解決策を提示してはいけない。
なぜなら、その人に降りかかってきた問題は、それが例えどんな難問であろうと、
解決はその本人しかできないからだ。
自分がその気にならなければ、どんな素晴らしい解決策も、アドバイスも、上の空でただ聞き流されるだけ。
我々が唯一できることは、だだ共感して聞くことだけ。
人は、親身になって聞いてもらうだけで、元気が沸々(ふつふつ)と湧いてくる。
心からの傾聴は、どんな名アドバイスにも勝る力を持っている。 |
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