2011.11.4 |
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楽しそうに城壁を磨く |
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邑井操氏の心に響く言葉より…
「人は影の勤めということ肝要(かんよう)也(なり)」
と言ったのは北条早雲だ。
辛い仕事や陰の目立たぬ仕事は人の嫌がるもの。
嫌がる仕事を快く引き受ける人こそ、人から感謝される。
目立たぬ仕事に打ち込む姿は人々に快い感動を呼びさまさせる。
やがて押し出され引き上げられ、目立つ仕事と場所が用意される。
そのとき多くの人から祝福され、支持を得て、思い切り力がふるえる。
そういう例は非常に多い。
業界の名リーダーといわれる人などを見ると、自然と人から推されて名誉職につく人が多い。
平生手弁当で人のために親切に骨身を惜しまず働く面倒見の良い人が、
ぜひお願いしますとトップの座へ祭り上げられる。
徳のある人とはそういう人を言う。
下積みや目立たぬ仕事を嫌がらず黙々とやるべきことをきちんとやる。
その陰の働きに対し、表の働きを求められるのだ。
『心をつかみ人を動かす』PHP文庫
その国では、占領した国の高官を捕虜としてとらえると、城壁を磨かせる仕事をさせていた。
それは危険で、もっとも下級の者のする仕事とされていたからだ。
壁を磨く者たちの顔には、
「なんで俺たちがこんなことをしなければいけないのか。世が世なら…」
という不満と羞恥と絶望が、ありありと浮かんでいた。
ある日のこと、その国の王さまの目に、実に楽しそうに城壁を磨く若者の姿が映った。
気高くさえ見えた。
それは占領した隣の国の王子だった。
やがて、子どものいなかった王さまは、その王子に王位を譲り、
いつしか、城壁を磨く仕事は、選ばれた者のみ許される高貴な仕事となった。
《新 自分を磨く方法》より
自分に誇りと自信を持っている者は、どんなつらい仕事を与えられようと、
そこに楽しみを見出し、自分の天国を築くことができる。
いかなることがあろうとも、不平、不満、愚痴を言わないと決めれば、
楽しいこと、幸せなこと、ありたいことが、自然と目に飛び込んでくるものだ。
人が嫌がる目立たない仕事だからこそ、そこにやる意味と、価値がある。
「陰徳陽報(いんとくようほう)」という言葉があるが、目立たないようにする善行は、いずれ表に出て報われる。
どんな仕事がやってこようと、楽しく、ニコニコと、感謝の気持ちで働きたい。 |
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