2011.10.16 |
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運がいいと思っている人 |
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斎藤茂太氏の心に響く言葉より…
ロンドン近郊にあるハートフォードシャー大学の心理学教授グループが行った
興味深い実績があるので、紹介しよう。
彼らはまず、「どちらかというと自分は運がいい」と思っている人と、
逆に「どちらかというと運が悪い」と思っている人を50人ずつ集めた。
そして被験者たちに、アニメのキャラクターがコインを親指ではじく映像を見せ、
表がでるか、裏がでるかを当てるゲームに挑戦してもらった。
この実験を繰り返し、「果たして、自分は運がいいと思っている人のほうが、
運が悪いと思っているより、当てる確率は高いか」を調べようというわけだ。
結果、両グループとも当たる確率はほぼ同じ。
自分が運が悪いと思っている人も、実はそれほど運が悪いわけではないことがわかった。
では、彼らはどこがちがうのか。
実験ではさらに、被験者にそれまでの人生を振り返ってもらうというインタビュー調査を行った。
これで判明したのは、運がいいと思っている人は“いいこと”が起きたときのことをよく覚えていて、
運が悪いと思っている人は、“悪いこと”が起きたときのことばかり思い出す傾向が強いことだ。
私の知り合いに「負けはカウントしない」と豪語している人がいる。
彼などは「いいことだけを覚えている」典型だろう。
つまり、研究で出た結論は、
「運がいいと思っている人は人生に対する態度が肯定的だから、
積極的に行動するし、望んだ結果を得やすい。
逆に、運が悪いと思っている人は人生に悲観的で、
何事につけてもあきあらめるのが早い」ということだった。
『グズをなおせば人生はうまくいく』大和書房
人生がうまく行くかいかないかは、どこに焦点をあてるかだ、と言われる。
どんな事象にも、コインのように裏があれば表もある。
車をぶつけてしまって「ツイてない」、と思う人もあれば、怪我をしなくてよかった、「ツイてる」と思う人もいる。
運がいい人は、過去に起こった「いいこと」しか覚えていない人。
同様に、過去に起きてしまった「悪いこと」しか覚えていない人は、運が悪い人なのだ。
同窓会などで、「あの時は楽しかった」「こんな面白いことがあった」と楽しかったことばかり話す人の
まわりは、笑いと笑顔に囲まれる。
90歳をすぎたとき、宇野千代さんは「私のしあわせ人生」(集英社)の中でこう言っている。
『「私はとても運の強い人間なんですよ」という癖がある。
自分ではあんまり苦しんだり、努力したりとは思っていない。
みな、忘れてしまったのかも知れない。
忘れると言うことも、とてもよいことですよ』
悪いことや嫌なことは、さっさと忘れ、いいことだけを覚えている人生でありたい。 |
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